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ロイヤルカナン ジャポンは、獣医療関係者を対象としたシンポジウム「ベテリナリーシンポジウム2023」を2023年7月30日にThe Okura Tokyoで、8月6日にヒルトン大阪で開催し、その概要を9月7日に公表した。
ベテリナリーシンポジウムは、ロイヤルカナンが獣医療業界のサステナブルな発展支援を目的に、全国の獣医療関係者を対象に毎年開催しているシンポジウム。第25回目の開催となった今回は、ロジックで攻める「消化器疾患クリニカルアップデート」をテーマに、講師として迎えた獣医療のエキスパート4名の獣医師による講演が行われた。東京と大阪の2つの会場に合わせて312名が来場し、オンライン(東京会場の模様)での聴講者も合わせると合計で2,500名を超える獣医療関係者が「ベテリナリーシンポジウム2023」に参加した。
公表された各講演ハイライトは以下の通り。
・石田卓夫先生(赤坂動物病院医療ディレクター)
「子犬と子猫の下痢症」
子犬、子猫の下痢に関する症状や原因、診断アプローチや治療法などの基本を解説し、特に子犬、子猫は下痢に伴い低血糖、脱水や栄養不良、体重減少が起こりやすいため、対症療法や食事管理に加え、正しい原因治療が重要だと紹介しました。その上で子犬、子猫の下痢症状には様々な疾患が関係しているため、それらを鑑別しながら必要な治療を行い、生命維持に努めることが大事だと結びました。
・大森啓太郎先生(東京農工大学大学院 動物生命科学部門)
「腸内環境を標的とした消化器疾患の管理」
注目が高まっている腸内細菌叢の異常「ディスバイオーシス」をはじめとする腸内環境と、犬と猫の消化器疾患との密接な関連を背景に、腸内環境を標的とした治療法について、プレ/プロバイオティクスの投与、食事療法、糞便移植療法(FMT)などの具体例を交えながら紹介しました。また食事療法の効果については、主に食物繊維、プレバイオティクスが腸内細菌叢に影響することや、一方で短期~長期的な投与の効果は疾患や個体によって異なり、世界的に研究の途中でもあるため、今後さらにデータの集積を待つ必要があると解説しました。
・中島 亘先生(公益財団法人 日本小動物医療センター附属 小動物消化器センター)
「どうする?腸疾患に対する食事療法などの治療選択」
症例数が多く、獣医師にとって診療する機会が多い犬の慢性腸症の基本に加え、初期治療が奏効しなかった場合の次の検査や治療の選択肢、2次診療施設へ紹介する見極めポイントやタイミングについて解説しました。実際の症例も多数交え、それらに対する中島先生の考えや対処も紹介し、臨床の現場で明日にでも役立つ講演になりました。