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■J-クレジット ファームノートの挑戦

2023-10-25 17:17 | 前の記事 | 次の記事

株式会社ファームノートデーリィプラットフォームの佐竹啓雅さんが、2023年10月12日、「令和5年度畜産環境シンポジウム」において、「サステナブル酪農への挑戦」のテーマで講演を行った。

同社は株式会社ファームノートの牧場部門で、中標津3牧場、別海の1牧場を運営している。「農場における家畜排せつ物管理方法の変更」でJ-クレジットのプロジェクト登録している。

正式なプロジェクト名は「株式会社ファームノートデーリィプラットフォームでの敷料再生によるCO2排出量削減プロジェクト」で、申請者は丸紅株式会社、プロジェクトの実施者が株式会社ファームノートデーリィプラットフォームとなる。2022年6月21日に妥当性の確認を申請し、7月28日に「妥当性」が確認されている。

丸紅株式会社は2020年に株式会社ファームノートに出資を行い、佐竹さんは翌年に同社に取締役として出向。丸紅株式会社では、飼料の輸入等に携わっていた。

「農業って何か?」「日本の酪農・畜産業界の目指すべき方向性は何か?」「サステナブル酪農って何か?」を自らに問いかけ、環境負荷が少なく、かつ安全な輸入品に対抗できる国産品をつくるための、30~50年先を見据えた農業・酪農にしていかねばならないと訴える。そして、サステナブル酪農とは、国際競争力を持つことで、それは「価格競争力の最大化」かつ「非価格競争力の最大化」の最大公倍数を徹底的に目指していくことであると述べる。非価格競争力の最大化の1つの手法として、環境への対策のためにJ-クレジットに挑戦している。

従来、家畜の糞尿は貯留後に畑に散布していたが、現在は整えた設備により糞尿を固液分離し、固体分を好気性発酵した後、敷料に活用することが、同事業の主となるもの。従来は敷料を購入していた。完熟させた堆肥の敷料利用は感染症が減るとも言われているが、それを実感しており、実証データも蓄積しているとのこと。

実際には、申請時の審査が高額であり、クレジットの規模から、クレジット創出者となっても現状では補助金なしでは採算が合うものではない。それでも「サステナブルな酪農」にしていくためにはやっていかねばならないと佐竹さんは述べる。生産された敷料は、近隣の牧場も興味を示しているとのこと。また、牛の排出するメタンの測定にも挑戦している。

海外と対抗していくときに、日本の水資源は大きな武器である。そして輸出を促進していくためには、壁を越えた農業に携わる業界内の集まりがあればよく、そうなれば、この業界はさらにおもしろくなるのではないかと締めくくった。