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農林水産省は、2023年10月12日、同省講堂で「令和5年度畜産環境シンポジウム」を開催した。その演題と演者は以下の通り(敬称略)。
- 堆肥から広がる農畜産業の持続可能性
- 宮竹史仁 (帯広畜産大学環境農学研究部門 教授)
- 畜産環境をめぐる情勢
- 夏目 曜(農林水産省畜産局畜産振興課 課長補佐)
- J-クレジット制度の紹介
- 宮田英明(農林水産省大臣官房みどりの食料システム戦略グループ地球環境対策室 課長補佐)
- 好気性強制発酵等による良質堆肥製造技術
- 鈴木一好(一般財団法人畜産環境整備機構管理・技術部 参与)
- サステナブル酪農への挑戦
- 佐竹啓雅(株式会社ファームノートデーリィプラットフォーム 取締役)
- 宮崎県と共に歩んだ10年間の環境対策 ~持続可能な畜産振興への取組~
- 安藤英樹(株式会社サンクラフト 代表取締役社長)
農林水産省の宮田英明さんはJ-クレジット制度の紹介を行った。「J-クレジット制度」は、省エネルギー・再エネルギー設備の導入や森林管理等による温室効果ガスの排出削減・吸収量を「クレジット」として国が認証するもので、経済産業省・環境省・農林水産省が運営している。同制度により創出されたクレジットは、国内の法制度への報告、海外イニシアチブへの報告、企業の自主的な取組み等、様々な用途に活用できる。
「農林水産省分野J-クレジット」登録プロジェクトの登録件数は165件で、全体の約3割となっている。農業分野17件のうち、畜産分野は以下の2件。
- 農場における家畜排せつ物管理方法の変更
- 株式会社ファームノートデーリィプラットフォーム
- 2022年8月登録 認証見込み量1,398t-CO2
- 乳牛へのアミノ酸バランス改善飼料の給餌
- 味の素株式会社
- 2023年2月登録 認証見込み量85,864t-CO2
クレジットを創出するためには、プロジェクト計画書を作成した後に、その妥当性の審査をまず受ける。審査には70万円~100万円ほどがかかる(国による支援制度がある)。それを通過するとプロジェクト登録となる。その後にデータのモニタリング・収集を行い、その計画書の検証による削減が確認された後、申請を経てクレジット認証となる。
また排出削減・吸収の技術ごとに、適用範囲、排出削減・吸収量の算定方法やモニタリング方法等が「方法論」として規定されている。
現在は69の方法論が認証され、そのうち農業分野は以下の5つが規定されている。方法論は、登録されたプロジェクト内容によって、増えていくことになる。
- 牛・豚・ブロイラーへのアミノ酸バランス改善飼料の給餌
- 家畜排せつ物管理方法の変更
- 茶園土壌への硝化抑制剤入り化学肥料又は石灰窒素を含む複合肥料の施肥
- バイオ炭の農地施用
- 水稲栽培における中干し期間の延長