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麻布大学は、2023年10月17日、麻布大学・岡山大学・宮崎大学の研究グループが牛伝染性リンパ腫ウイルス感染による消化管細菌叢の変化を発見したと発表した(参照:麻布大学プレスリリース)。
麻布大学獣医学部の鈴木武人 准教授、村上裕信 准教授、岡山大学学術研究院医歯薬学域の内山淳平 准教授、宮崎大学農学部獣医学科の佐藤礼一郎 教授の研究グループは、牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)感染が牛の消化管細菌叢を変化させることを見出した。
消化管細菌叢は、生体内の免疫機構への影響など健康に密接に関係している。BLVはリンパ腫発症などの直接的な影響を与えるが、今回の成果はBLVによる乳量や肉質の低下、繁殖成績の低下、健康状態の悪化など副次的な被害との関連性の解明に鍵となることが期待される。
同研究成果は、2023年9月16日、「Annals of Microbiology」に掲載された。
- Exploratory study of volatile fatty acids and the rumen-and-gut microbiota of dairy cows in a single farm, with respect to subclinical infection with bovine leukemia virus
- Takehito Suzuki, Hironobu Murakami, Jumpei Uchiyama, Reiichiro Sato, Iyo Takemura-Uchiyama, Masaya Ogata, Kazuyuki Sogawa, Hiroho Ishida, Apichart Atipairin, Osamu Matsushita & Makoto Nagai
- DOI:10.1186/s13213-023-01737-4
研究概要は以下の通りにまとめられている。
- 牛の胃と腸内の細菌叢、血液中の栄養成分について、BLV感染による影響を調べた。
- BLV感染によって消化管が形成する共起ネットワークが変化していることを明らかにした。
- BLVはリンパ腫発症以外に健康に深く関係する腸内細菌叢を変化させていることがわかり、その被害の全容解明に役立てられることが期待される。