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■ポリヒドロキシ酪酸による脂質異常症抑制作用を解明 アニコム先進医療研究所株式会社

2023-09-28 14:52 | 前の記事 | 次の記事

アニコム先進医療研究所株式会社は、2023年8月21日、生分解性ポリエステルの一種であるポリヒドロキシ酪酸(PHB)が、腸内細菌叢において酪酸菌などの有益細菌の増加を促進し、肥満マウスモデルの脂質異常症を改善することを明らかにしたと発表した。麻布大学獣医学部獣医学科の永根大幹講師、東京工科大学の佐藤拓己教授、日本ペットフード株式会社との共同研究。

これらの結果は、腸内細菌によりPHBが分解され、大腸において持続的に3-ヒドロキシ酪酸を放出することが示されたとともに、腸内細菌叢に関連する疾患の治療に応用可能であることを示唆している。

研究成果は、米国実験生物学会連合の会誌である「The FASEB Journal」(2023年8月7日)に掲載された。

肥満は遺伝的、環境的、心理的要因に起因する世界的な健康問題であり、さまざまな健康障害と関連している。そのため、肥満と関連疾患の予防に対する関心が高まっている。腸内細菌叢は肥満症において重要な役割を果たしており、治療のターゲットとなっている。研究チームはこれまでに、3-ヒドロキシ酪酸のポリエステルであるPHBが、腸内細菌により分解を受け、抗大腸炎作用を示すことを報告している。ケトン体は脂質代謝の改善作用が報告されているため、本研究ではケトン体のポリエステルであるPHBを用いて肥満症に伴う脂質異常症が改善されるかを検討した。

PHBを混合した飼料を肥満マウスに投与した結果、皮下脂肪が減少し、血液中の中性脂肪とコレステロールの数値が低下した。また、腸内細菌叢において酪酸菌などの有益な細菌が増加した。さらに、肝臓における脂肪代謝の改善と酸化ストレスの抑制が観察された。PHBは肥満に関連する腸内細菌の変化を調整し、脂質異常症を効果的に抑制することから、肥満関連疾患の治療に用いるサプリメントとしての可能性があることが示唆された。すなわちPHBは有益な腸内細菌を増加させ、肥満関連脂質異常症の緩和をもたらすことが示された。この研究成果は、肥満とその関連疾患の治療への新たなアプローチとなることが期待される。