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性の肯定と解放をテーマにしたモンゴルの大学生の成長物語。ひょんなことからアダルトショップでアルバイトをはじめ、その女店主との交流や客と接していくなかで、地味目なヒロインの大学生であるサロールが、垢抜けていくさまが描かれている。

定住が進んでいるモンゴルの首都ウランバートルが舞台であり、その生活がよく分かるのだが、中でもモンゴルの都会のペット事情を垣間見ることができる。

猫を飼う一人暮らしの女性店主カティアの家の中には、猫ツリーが置かれ、キャットフードが与えられているという、日本と変わりない様子である。犬も出てくるのだが、セントバーナードの血が混じった雑種なのか、寝そべってばかりの大型犬のピム。それと対比するようにうろうろとする野良犬をみて、サロールは「犬らしい」と言い、犬は野外で自由に動き回るのがよいと描かれている面もある。ピムはバイアグラを与えられ高揚して逃げ出してしまい、野良化して走り回る姿が映されるのだが、それは抑圧からの解放を示しているようであった。なお、カティアの飼い猫は、ペニス型のおもちゃと同様に「男の子」という名前で呼ばれている。

表現がアナクロ的な面も少しあるが、女性の性をまっすぐにとらえ、自分らしく生きるというテーマは、広く共感されるであろう。全編を彩るモンゴルのミュージシャン、マグノリアンMagnolianの曲もよい。特に青春映画が好みの方にはお薦めの映画である。

なお、映画館では最後まで席を立たない方がよい。エンドロールの後に出てくる撮影時の一コマの映像に驚かされる。カティア役のエンフトール・オィドブジャムツのスゴワザが披露される。

『セールス・ガールの考現学』

• 公開：4月28日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー！
• 監督・脚本・プロデューサー：
• センゲドルジ・ジャンチブドルジ SENGEDORJ Janchivdorj
• キャスト：バヤルツェツェグ・バヤルジャルガルBayartsetseg Bayarjargal(サロール役)，エンフトール・オィドブジャムツEnkhtuul Oidovjamts(カティア役)ほか
• 原題：Khudaldagch ohin (英題 THE SALES GIRL)
• 字幕翻訳：大塚美左恵
• モンゴル語監修：フフバートル(昭和女子大学教授)
• 後援：駐日モンゴル国大使館
• 配給：ザジフィルムズ
• アワード：第17回大阪アジアン映画祭薬師真珠賞(俳優賞)、第20回ニューヨーク・アジアン・フィルム・フェスティバルグランプリ、第29回ヴズール国際アジア映画祭ゴールデン・シクロ賞(最高賞)