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■周年親子放牧導入標準作業手順書「山陰地方版」を公開

2023-03-29 15:38 | 前の記事 | 次の記事

舎飼い(左)と周年親子放牧(右)の比較

山陰平野部・低標高地域の実証地における牧草作付け計画支援システムを用いた草種選定の例。草種の探索条件として「牧草生産の手間・コストを抑えたい」および「探索候補に野草(シバ)も含める」を入力し(左上)、草種の最適化を行うと、平坦部にはトールフェスク、傾斜部にはシバが最適草種として出力された(右上)。生産量の推定結果(中段)では、3月下旬から8月までほぼ十分な草の生産があるものの、それ以降は草が不足することが予測されている。

農研機構は、2023年3月22日、周年親子放牧導入標準作業手順書「山陰地方版」を公開した。農研機構は、肉用牛繁殖経営へ周年親子放牧を導入するため「周年親子放牧導入マニュアル」を公開している。「山陰地方版」は、山陰地方の生産者等に向けて技術を分かりやすく伝えるもの。

同手順書では、山陰地方をはじめとする西日本でも問題となっている牧草の夏枯れに対応して新たに開発した「草種の組み合わせによる放牧期間延長技術」についても記載してある。手順書の活用により、山陰地方等における周年親子放牧の普及を加速化させ、子牛の生産基盤強化と生産者の所得向上につながることが期待される。

周年親子放牧を導入した肉用牛繁殖経営は、新規参入者でも比較的取り組みやすく、収益性の高い営農が期待できる。この手順書をもとに、地域に合った適草種を活用した作付けを行い、放牧カレンダーを作成することで、春から秋の放牧期間延長が可能となり、周年親子放牧による肉用牛繁殖経営の収益性向上につながると期待される。現在、島根県と鳥取県を中心に同技術の普及が進められている。

研究担当は、農研機構西日本農業研究センター周年放牧研究領域の井出保行 領域長と堤 道生 上級研究員。