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■2022年シーズン高病原性鳥インフルエンザウイルスの遺伝的特徴

2023-03-20 10:55 | 前の記事 | 次の記事

HA分節の遺伝子解析に基づく2022年シーズンH5亜型HPAIV移動経路の推定

国内の家禽および一部の野鳥から検出されたウイルスのHA遺伝子解析分類による道県別分布図。家禽での発生は北海道から沖縄県まで認められ、3グループのウイルスが分離されている。一部の野鳥においても家禽で認められた3グループのウイルスが分離されている。

農研機構は、2023年2月9日、2022年シーズン高病原性鳥インフルエンザウイルスの遺伝的特徴を発表した。2022年10月28日~2023年1月17日に家禽飼養施設で発生した高病原性鳥インフルエンザ60例のウイルス遺伝子解析結果を分析したもの。

2022年シーズンには、これまでで最も早い時期から、赤血球凝集素遺伝子の特徴から分類される3つのグループが同時期・広範囲に国内に侵入していた。そのうち2グループは昨シーズンに国内で検出されたグループと近縁であり、新たに検出された1グループは2021年に西シベリアおよび中国中部で分離されたウイルスと近縁であった。2022年シーズンは過去最多の発生になっている。

2022年10月28日に岡山県および北海道の養鶏場で2004年以降最も早い時期に高病原性鳥インフルエンザ(high pathogenicity avian influenza: HPAI)が発生。死亡した鶏からH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスが分離され、その後2023年1月17日までに60事例のH5亜型高病原性鳥インフルエンザの発生が確認された。60事例のうちH5N1亜型HPAIVによる発生が59事例、H5N2亜型HPAIVによる発生が1事例となり、過去最多の発生数となった。

1から59事例目(H5N1亜型)および60事例目(H5N2亜型)の発生から分離されたHPAIVの全ゲノム配列を解読し、赤血球凝集素(HA)遺伝子分節について系統樹解析を行った結果、2021年シーズンに日本国内で検出された2つのグループ「2020-2021年冬季欧州分離HPAIV(20E)」または「2021-2022年欧州分離HPAIV(21E)」と近縁であることが明らかになった。また、新たに「2021年西シベリアおよび中国分離HPAIV(21RC)」と近縁なウイルスも検出された。20E、21Eおよび21RCの3グループのウイルスが、シーズン初期から同一期間中に国内に侵入していた。H5N2亜型HPAIVのHAは21Eグループに分類され、2022年11月28日に北海道のハシブトガラスから検出されたH5N2亜型HPAIVと全遺伝子分節が近縁であった。