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多くの物流企業が目前に迫る2024年問題(「働き方改革関連法」の施行による時間外労働の上限960時間/年の適用猶予の終了など)への対応に追われている。畜産業にとっては毎日必要な飼料の輸送体制を維持できなくなる恐れがある。
株式会社YE DIGITALは、その対策として同社の飼料タンク残量管理システム「Milfee(ミルフィー)」の活用を呼びかけている。同システムは飼料タンクのふたにセンサーと通信末端を装着し、飼料のタンク内残量が把握できるもの。その特長は以下の通り。
- 2つのセンサーとLPWA通信の装置からなる端末を、飼料タンクのふたの内側に取り付けて使用。
- バッテリーで動き、複雑な配線やネットワークの工事、タンク加工が不要で、1台当たり5分程度で設置。
- 防水防塵性能がある。
- 高い精度で飼料の残量計測を実現。マッシュ飼料や飼料タンクが満量のときも高精度に計測。
- 飼料タンクに設置したセンサーから送信されるデータをクラウド上に蓄積。
- 利用者はスマートフォンやタブレット、パソコンから簡単に接続でき、特別な機材を用いずに時間や場所を問わずに飼料の残量を確認可。
タンク内残量の的確な把握により余裕を持った飼料の発注が可能となり、ドライバーの労務管理の適正化につながる。実際に配送車の走行距離を減らすことができた事例がある。また「Milfee」の利用は、タンクに登る回数の減少など、農家自身の作業軽減にもなる。
株式会社YE DIGITALは、変革が必要な飼料輸送の諸業務と問題点を以下の通りまとめている。
- 輸送トラックの長距離運転:
- 飼料の生産拠点は一部に集中しており、農場までの輸送は長距離に及ぶ。配送業者の約7割が、「顧客への製品輸送最長時間は5時間以上」と答えている。また、飼料の残量確認と補充のために、何度も長距離を走らなければならないことがトラック運転手の負担になっている。
- 付帯業務の有料化:
- これまでトラック運転手がたびたび担ってきた飼料の残量確認などの付帯業務は、今後は運賃とは別の契約になる。支払いを拒んだ場合は下請法違反になり、発注者も注意が必要。
- 労働時間の適正化:
- 飼料メーカーは、農家から急な発注があるたびにトラックの再手配や製造計画の見直しを行うが、そのために運転手を待たせる時間が生じている。