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公益財団法人国際花と緑の博覧会記念協会、公益社団法人日本動物園水族館協会(JAZA)、公益社団法人日本植物園協会の3団体は「自然と人間との共生フォーラム」を連携して開催することになった。それぞれの団体の特性を生かし、地球環境問題にアプローチする。SDGsゴール年の2030年まで開催される。
第1回目のフォーラムが2023年2月1日にオンラインで行われ、300名以上が参加した。有識者による基調講演・パネルディスカッションを通して「自然と人間との共生」をテーマに気候変動や生物多様性など未来の進路について語られた。
プログラムは以下の通り。
基調講演:
- 生物多様性が私たちにもたらしてくれる希望
- 山極壽一先生(総合地球環境学研究所所長)
プレゼンテーション:
- 共生が育む植物の多様性
- 川北 篤先生(日本植物園協会理事/東京大学大学院理学系研究科附属植物園 園長)
- ライチョウの生息域外保全を通して知る自然と人とのかかわり
- 秋葉由紀先生(JAZA生物多様性委員会ライチョウ計画管理者/富山市ファミリーパーク)
- 身近なみどりを舞台とした人と自然をつなぐ取り組み
- 橋本佳延先生(兵庫県立人と自然の博物館 自然・環境再生研究部主任研究員)
パネルディスカッション:
- プレゼンテーションの3名とコーディネーターの湯本貴和先生(京都大学名誉教授)
秋葉先生は動物園における絶滅危惧種の域外保全への取り組みについて概略を説明、次いでライチョウのことを解説された。ニホンライチョウは日本の固有亜種で、世界の中では最も南に生息し、5つの生息域に約1,700羽が生息している。すでに絶滅した地域もある。捕食、餌の不足、環境の変化などが生息数を減らす原因で、登山や環境変化など人の生活の変化がそれに関わっている。温暖化による高山帯の水の流出は大きな影響を及ぼし、その対策が重要である。動物園でのライチョウの生息域外保全も行われており、11園館が取り組んでいる。取り組みにより、ライチョウの生理も多くが明らかになり、人工繁殖も行われている。最初に卵で導入されたため、飼育下のものは野生のものとは腸内細菌叢が異なることも判明し、対策として例えば高山植物を餌とすることなども始められ、その栽培にも取り組んでいる。また、絶滅していた木曽駒ヶ岳での野生個体群復活の取り組みも紹介された。
最後に「動物園のライチョウにも会いに来て下さい」としめくくった。
第1回自然と人間との共生フォーラムは、「公益財団法人国際花と緑の博覧会記念協会YouTubeチャンネル」で見ることができる。
追記
3月5日には富山県で、ライチョウ基金シンポジウム2023「ライチョウ、山へ帰る」が開催され、秋葉先生も講演されます。