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■愛玩動物看護師制度の推進に向けて

2023-01-10 17:04 | 前の記事 | 次の記事

会議の冒頭にて。西村亮平座長(写真奥の列の右から2人目)は、「今は愛玩動物看護師が獣医師のパートナーとなるかどうかの転換点である。資格を持っていないものを安く雇うという動きがあるかも知れない。この国家資格というすばらしい制度を活かして、獣医療をよりよくしていくために、本委員会の動きがとても大切になってくる」との主旨の発言を冒頭に述べた。

農林水産省と環境省は、2022年12月21日、「第1回 獣医事審議会免許部会・中央環境審議会動物愛護部会愛玩動物看護師小委員会(合同会合)」を環境省内の会議室で行った。

両省からの事務局のほか、同委員会のメンバーは以下の通りで(敬称略、五十音順)、西村亮平先生が座長に、村中志朗先生が副座長に就任した。

  • 浅野明子(高木國雄法律事務所弁護士)
  • 磯部 哲(慶應義塾大学大学院法務研究科教授)
  • 佐伯 潤(公益社団法人日本獣医師会動物福祉・愛護担当職域理事)
  • 中山裕之(東京大学名誉教授)
  • 長田三紀(元全国地域婦人団体連絡協議会事務局長)
  • 西村亮平(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)
  • 村中志朗(公益社団法人日本獣医師会副会長)
  • 山﨑 薫(学校法人ヤマザキ学園理事長)
  • 横田淳子(一般社団法人日本動物看護職協会会長)

検討していく議題は、新たな国家資格である愛玩動物看護師の社会的信頼を構築していくことと、獣医療分野や動物愛護・適正飼育分野での役割などである。まずは事務局から4つの柱が示され、次いでフリーディスカッションが行われた。

事務局から示された4つの柱

  1. 国家資格の信頼確保
    •  第1回愛玩動物看護師国家試験および予備試験の実施結果に関する検証や第2回試験に向けた課題の整理。愛玩動物看護師の免許付与審査に係る手続きおよび処分の判断基準の考え方。
  2. 獣医療現場における愛玩動物看護師の職責・役割
    •  愛玩動物の獣医療現場における判断や解釈の参考としての獣医療のタスクシェアの基本的な考え方。愛玩動物看護師の職業実態、需給調査、処遇改善等。
  3. 動物愛護・適正飼養分野における愛玩動物看護師の活躍推進
    •  ペット産業、学校教育、動物愛護管理行政等の現場における専門職としての役割。
  4. 愛玩動物看護師の養成及び資質向上
    •  愛玩動物看護師の生涯教育、資格取得後の研修等。大学や養成所における養成課程の検証。

会議では、以下のような発言があった。

  • 今回の法律では動物保護、動物の適正飼養を謳っており、そこは獣医師の法律とは異なる。その違いを活かして制度を整えるべき。
  • もっと一般に本資格制度のことを啓発していきたい。
  • 愛玩動物看護師の業務の範囲やそれに伴う獣医師の責任を明確にしてもらいたいとの発言に対して、事務局から診療におけることは獣医師の責任であり、愛玩動物看護師の業務を細かく規定していくかどうかは、これから実態を踏まえて審議していくもので、愛玩動物看護師の活躍の場を狭めたくはないとの返答があった。それらについて、法律用語は難しい面もあり、獣医師会等を通じて両省から獣医師に向けての情報発信をして欲しいとの希望があった。
  • 看護師同様に愛玩動物看護師も訴訟の対象になっていく可能性もあることや、動物の適正飼養などでは、獣医師と意見が異なる面も出てくるであろう。
  • 獣医師のような届け出が本法律にはないことが指摘されたが、就業状況については情報を集めていく予定のと返答が事務局よりあった。
  • 本委員会のヒアリングには市町村にも行ってもらいたい。動物の適正飼養についての自治体の対応について、実態を調査しつつ、愛玩動物看護師がその任務担当として雇用されていくようになって欲しい。また動物取扱責任者としての職域の広がりも期待できる。
  • 国家試験を受ける際は泊りがけのこともあり、会場を早く決定して公表して欲しい。
  • 免許付与の際に資格審査があること、それがどのような内容になるのかを明らかにして欲しいという要望に対して、基準は獣医師のものを参考にして作るのがよいとの意見があった。