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■コスモス国際賞の授賞式が行われる 生物多様性と人と動物の共通感染症

2022-11-16 16:12 | 前の記事 | 次の記事

授賞式でのフェリシア・キーシング博士(配信動画からの画像を許可を得て掲載)

公益財団法人 国際花と緑の博覧会記念協会(会長 御手洗冨士夫 氏)は、2022年11月9日、2022年(第29回)コスモス国際賞の授賞式を大阪市・住友生命いずみホールで行った。今回の受賞者は米国・バード大学教授のフェリシア・キーシング Felicia Keesing博士。自然生態系の生物多様性と、人と動物の共通感染症の病原体が人間社会への伝播するリスクとの関係性を、実践的な調査研究により解明し、ポストコロナ時代における自然と人間の共生のあり方に科学的な示唆を与えたことが評価された。

同賞は1990年の国際花と緑の博覧会を契機に1992年創設されたもので、コロナ禍のため中止されていた授賞式が行われるのは3年ぶり。またその模様はYouTubeでライブ配信された。

授賞式では賞の授与に次いでキーシング博士による研究内容の紹介が行われた。その研究紹介の概要は以下の通り。

我々は2つの危機と戦っている。1つは気候変動で、もう1つは生物多様性の喪失である。喪失のスピードは加速し、絶滅の危機に瀕している種は100万種に及ぶ。

絶滅の危機に瀕している哺乳類は地理的に生息範囲が狭い、寿命が長い、1回の出産数が少ないという特長があり、大型のものが多い。私たちに病原体をもたらす哺乳類は、生息範囲が広く、寿命が短く、1回の出産数が多いという特長がある。すなわち齧歯類に代表され、それらは絶滅の可能性が低い。絶滅の危機に瀕している大型の哺乳類は、人に病気を感染しにくい存在であり、それらが減少すると、感染リスクを増加させる種が増えるという結果になる。

生物多様性を守ることは、人の感染症のリスクを減少させるということである。現在の生物多様性を維持するだけでは十分ではない。失われた地域での生物多様性の回復が必要である。これらの関係性についての研究をさらに推進していきます。生物多様性を守ることの最大の受益者は人であるということを念頭におくべきです。

授賞式の後半では、コスモスアンサンブル2022とチェロ奏者の新倉 瞳さんによる祝賀演奏会が行われた。また、11月13日に東京大学安田講堂で行われた受賞講演は同協会ウェブサイトの「コスモス国際賞」のページで、後日公開される予定。