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一般社団法人日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)は、飼い主を対象とした「市民向け講座」を開設した。このオンラインセミナーには、誰でも無料でアクセスできる。ペットの手入れ方法、健康管理や食事のことなど、一般向けの情報を専門家による34本の動画で紹介している。
JBVPは飼い主への情報発信にも力を入れ、年次大会では病気の予防や食事の管理、しつけなどに関するセミナーを行ってきた。コロナ禍の影響でオンライン開催となった2020年からは、「一般(ご家族)プログラム」として動画の無料公開を行い、今回の第24回年次大会では、「一般ショートプログラム」が追加された。短い動画を観ることで犬や猫の爪の切り方や薬の飲ませ方、耳掃除などのケアを学べ、さらに最近多い病気やけいれん発作が起きた時の適切な対応、災害時への備えなど、ペットとの暮らしに役立つ幅広い知識を得られる構成となっている。
無料公開は第24回年次大会の一環であり、視聴は12月9日まで。
JBVP会長の竹村直行先生は、同フォーラムの意義を「獣医師・動物看護師でなければできない社会への貢献」にあると述べている。「刻々と変化する獣医学・動物看護学を理解し現場に応用し続けることで、動物との暮らしを楽しんでいるご家族にさらなる喜びを提供し満足していただく。これは、獣医師と動物看護師にしかできない素晴らしい社会貢献だと思います。」そのために「獣医師、一生勉強」が大切だと竹村会長は強調する。
このような姿勢の根底には、JBVPの創立者で名誉会長の石田卓夫先生が唱えるヒューマンアニマルボンド、つまり「人と動物の絆」を核と考える伴侶動物医療がある。動物たちは、「単なるペットという認識を越え、人間の良き仲間、家族、伴侶として共に暮らす存在です。伴侶動物のための医療とは、そこに存在する『絆』のための医療です」と、獣医療の役割について述べている。「獣医師は、そこに存在する絆がどのようなものかを判断し、その家族と動物に最良の治療法を見つける必要があります。そして絆を美しく維持するよう最大限の努力を払います」と言う。伴侶動物対象の獣医療従事者の使命は、ヒューマンアニマルボンドの最適化にある。その実現には、常に良質な情報を追い求めることが必要であるとJBVP設立の背景について語っている。
「動物の家族の方には、これまで以上に様々な学びの場を提供したいと考えています。健康維持は勿論、フード、行動、発生率の高い疾患など、家族が知りたいことはたくさんあります。今後もJBVPは家族の知りたいことを適確に把握し、動物との良質な暮らしをサポートします」と、今回の年次大会に際して竹村会長は語っている。