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■乳用牛の胃からメタン産生抑制効果が期待される新規の細菌種を発見

2021-12-20 19:47 | 前の記事 | 次の記事

牛の第一胃内発酵の概略図。発酵で生じる水素は、メタン産生やプロピオン酸産生等によって消費される。

農研機構は、2021年11月30日、乳用牛の第一胃から、プロピオン酸前駆物質を既知の近縁菌より多く産生する新種の嫌気性細菌を発見したと発表した。

牛の第一胃ではプロピオン酸が多く産生されるとメタン産生が抑制されることが知られている。農研機構が保有する胃液中のプロピオン酸濃度の高い乳用牛から、コハク酸、乳酸、リンゴ酸などのプロピオン酸前駆物質を産生する新規の嫌気性細菌(Prevotella属細菌)を分離した。同菌は、第一胃内に生息する既知のPrevotella属細菌よりもプロピオン酸の前駆物質を多く生成する特徴がある。

同菌の発酵機能や増殖促進条件を明らかにすることで、乳用牛のげっぷ由来のメタン排出削減、さらには地球温暖化の緩和に貢献すると期待される。

また、プロピオン酸産生の促進は飼料利用性の改善にもつながることから、乳用牛の生産性向上への貢献も期待できる。

  • 農研機構プレスリリース: