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『日本の馬 在来馬の過去・現在・未来』
- 近藤誠司 編
- 発行:2021年10月・東京大学出版会
- 体裁:A5判 208頁
- 価格:本体4,500円+税
- 詳細:http://www.utp.or.jp/book/b589069.html
目次(下記)の通り、各在来馬の種ごとに章が設けられている。それぞれの成り立ち、今に続く系譜が綴られ、読み物としてとてもおもしろい内容となっている。執筆は大学や行政などに身を置きながら、研究や保存に取り組んできた方々で、いずれも馬への愛情にあふれている。評者は特に木曽馬の章が気に入った。半野生馬の御崎馬の行動、特にハレムをめぐる雄の行動はぜひ視たいと思った。また、与那国馬との海馬遊びも体験してみたい。読んでいると現地に行きたいという思いに駆られる1冊である。
現在、日本在来馬をいかに保存していくかが問題となっている。本書でもどのように取り組んでいくべきかが取りざたされており、その一助となるものであろう。広く読まれてもらいたいものである。
なお、馬では「常足(なみあし)」など独特で読みの難しい用語が多くあるが、適度にルビが添えられており、読み進めるに支障はない。「牡牝」は使われていない。
主要目次
- 序 章在来馬とはなにか
- 第1章在来馬の遺伝的背景
- 第2章北海道和種馬-近代・現代の北海道を支えてきた馬
- 第3章木曽馬-歴史と文化に育まれる馬たち
- 第4章御崎馬-家畜をやめた現代の半野生馬
- 第5章対州馬-島の暮らしを支えた優しい馬たち
- 第6章野間馬-日本最小の在来馬
- 第7章トカラ馬-孤高に生きる
- 第8章宮古馬-琉球王府を支えた馬
- 第9章与那国馬-最西端にいる馬と人
- 第10章在来馬の運動能力-ほんとうにタフなのか
- 第11章在来馬の栄養特性-粗食に耐えられるか
- 終 章在来馬の未来