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■無麻酔での歯垢・歯石除去について討議 JAMLASが研究会を現地開催

2021-10-27 15:41 | 前の記事 | 次の記事

挨拶を述べる日本獣医療倫理研究会会長の山村穂積先生

日本小動物歯科研究会会長の藤田桂一先生

日本獣医療倫理研究会(JAMLAS,会長 山村穂積先生)は、2021年10月24日、グランドニッコー東京台場にて、第24回研究会を開催した。今回は日本小動物歯科研究会(会長 藤田桂一先生)との共催。無麻酔での歯垢・歯石除去、デンタルケアを目的とする製品を使用することによる歯への悪影響が議題となった。

始めに歯科専門の先生方が以下の講演を行った。

  • 「無麻酔による歯科処置の弊害」
  • 幅田 功先生(センターヴィル動物病院)
  • 「無麻酔での歯垢・歯石除去とデンタルケアを目的とした製品による歯の併発症に関するアンケート結果」
  • 本田 洋先生(本田動物病院)
  • 「無麻酔での歯垢・歯石除去による併発症を考える」
  • 藤田桂一先生(フジタ動物病院)
  • 「デンタルケアを目的に与えた製品による歯の併発症を考える」
  • 網本昭輝先生(アミカペットクリニック)
  • 「適切な歯周病治療とデンタルケアの概要」
  • 江口徳洋先生(Vets Dental and Oral Surgery Office)

次いで春日法律事務所の春日秀文先生ら4名の弁護士によるパネルディスカッションが行われた。

無麻酔で歯垢・歯石除去を行うことを日本小動物歯科研究会は問題としてとらえている。会員へのアンケート調査を行うなど、対策を検討している。犬では口腔内の疾患として歯周病が多発している。無麻酔での歯垢・歯石除去は、歯周ポケット内の治療ができないため歯周病に進行してしまう。さらに、口腔鼻腔瘻や外歯瘻、あるいは顎骨骨折に至ることもある。無麻酔での処置による痛みのため、犬が口腔を触られるのを嫌がり、デンタルオーラルケアに差しさわりが出ることも多い。

「出血の有無が診療行為に値するかどうかの一つの線引きとなる」とする農林水産省が示した見解を紹介。出血する事態になった場合、獣医師でない者による行為ならば、獣医師法第17条の違反もあり得る。無麻酔による歯垢・歯石除去により歯周病の病態が進行した場合でも、飼い主は不適切な処置を行った施設をとがめない場合が多く、事態の改善に向かっていっていないのが現状。日本小動物歯科研究会は「無麻酔での歯垢・歯石除去に対する見解」を示しているが、無麻酔での危険性や正しい麻酔リスクをさらに啓発していくための方法を模索している。

デンタルケア製品については、その硬さで破折を招くなど、歯への悪影響が問題となっている。