JVMNEWSロゴ

HOME >> JVM NEWS 一覧 >> 個別記事

■新刊 シジュウカラガン物語-しあわせを運ぶ渡り鳥、日本の空にふたたび!

2021-08-19 10:22 | 前の記事 | 次の記事

シジュウカラガン物語

著者・編者である呉地正行先生のメッセージを紹介します。

呉地正行(日本雁を保護する会)

江戸時代には、「雁を十羽獲ると七、八羽」(観文禽譜、1831)を占めるほど多かったシジュウカラガンは、20世紀初頭に繁殖地の島々に人間が毛皮目的で放したキツネのために、瞬く間に絶滅の淵に追いやられてしまいました。「シジュウカラガンの群れを復活したい!」日本雁を保護する会は、国内外にその思いを伝え、同じ志を持つ日米ロの人々との国際ネットワークを作り上げ、40年近い年月をかけて、千島列島から日本へ渡る群れを復活させることに成功しました。

20世紀初頭、世界的な毛皮バブルが起き、毛皮目的のキツネの放飼先として千島列島とアリューシャン列島が標的にされました。

たまたまここがシジュウカラガンの繁殖地でした。この本ではこれらの島に放されたキツネの状況と、そのキツネがどのようにシジュウカラガンを絶滅の淵へと追いやったのかについて触れています。

次にこれらのシジュウカラガンの復活について、その取り組みが先行していた米国の事例を紹介し、その後その支援を得、ソ連(当時)も含め3国共同で開始した、アジアのシジュウカラガン復活計画について述べています。その途中でしばしば壁に突き当たりました。しかし、熱い思いが運も味方につけ、ついに5000羽を超える群れの復活へと結びつきました。また生息地の保全方法についてもめどが立つようになりました。計画当初はほとんどの人が「シジュウカラガンの復活なんて出来っこない、夢物語だ」と言ってましたが、日本雁を保護する会のような小さな自然保護団体でも、夢に向かって諦めずに歩み続ければ、道は必ず開けるということがこの本を読んでいただくことで皆さんもご理解いただけると思います。