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■2021年オディール・ベイン記念賞 寄生虫学分野の若手研究者を表彰 ベーリンガーインゲルハイム

2021-08-06 14:24 | 前の記事 | 次の記事

Dr.Goylette Chami

Dr.Barbora Pafčo

ベーリンガーインゲルハイム(ドイツ)は、2021年7月21日、「2021年オディール・ベイン記念賞」が、英国オックスフォード大学のDr.Goylette Chamiと、チェコ共和国ブルノのチェコ科学アカデミー・獣医学大学のDr.Barbora Pafčoに授与されたと発表した。寄生虫学分野におけるキャリアの初期段階にある若手研究者の優れた功績を称えるもの。

「オディール・ベイン記念賞」は2014に設置され、ベーリンガーインゲルハイムアニマルヘルスとサイエンス誌の出版社であるParasites & Vectorsの協賛により毎年授与されている。

受賞者にはそれぞれ賞金が授与されるほか、世界獣医寄生虫学会議(WAAVP) Dublin 2021会議への参加により学習や交流の機会を得、さらに、Parasites & Vectors誌に論文を1本掲載することができる。

バーチャル表彰式が7月20日にWAAVP Dublin 2021にて行われ、WAAVPの会長のDomenico Otranto教授より賞が授与された。

Dr.Goylette Chamiの研究対象は、サハラ以南のアフリカにおける寄生虫の治療法を改善すること。集団投薬(MDA)および看過される熱帯病を評価するネットワークのグラフ化を先駆者として開発し、集団投薬の研究に大きく貢献した。さらに、持続性の住血吸虫症と鉤虫感染症の社会的決定因子に関する研究は、特に、社会から取り残されている人々に対する影響が高く評価された。Dr.Goylette Chamiは、「いただいた賞金で、住血吸虫への曝露と病気の進行との関連性について研究をさらに進展させる予定です」と述べている。

Dr.Barbora Pafčoは、円虫を重点的に研究し、最近は、寄生線虫類によって引き起こされるマウンテンゴリラの胃炎につながる要因を明らかにしている。また、チェコ共和国における牛の円虫およびアメリカ鉤虫属の線虫の世界的分布について、薬剤耐性と人獣共通感染症のリスクへの影響に注目して研究を進めている。寄生虫生態学、宿主と寄生虫の関係、病原体の分子多様性に着目している。Dr.Barbora Pafčoは、「オディール・ベイン記念賞を受賞したことで、自分の研究が評価されていることが分かり、研究に対する意欲がさらに高まりました」と述べている。

オディール・ベイン氏(Odile Bain、1939年~2012年)は、寄生虫学・獣医寄生虫学分野で優れた功績を残した研究者で、キャリアの大部分を国立自然史博物館(パリ)の寄生蠕虫学部門に捧げた。