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日本獣医がん学会は、2021年6月26日より、第24回大会(http://www.jvcs.jp/society/guidance.html)をオンライン配信している。
今回のメインシンポジウムのテーマは「犬の多中心型リンパ腫」。冒頭の講演動画は、東京大学獣医病理学研究室のチェンバーズ ジェームス先生による「リンパ腫の病理とWHO分類」。
T細胞とB細胞の解説、リンパ節の構造など基礎を述べた後、WHO分類のポイントを(1)病変分布、(2)組織構造、(3)細胞形態、(4)免疫表現型、(5)遺伝子検査の6つに分けて解説。
次いで、犬のリンパ腫の主なタイプを具体的な組織像を用いて、その見方、診断のポイントなどを症例をまじえて解説した。
また、重要となる免疫染色をきちんと行える検体を提出するための、臨床の現場での検体の取り扱い方も述べた。具体的な方法は東京大学獣医病理学研究室のWebページにも掲載されている。
現在、リンパ腫のグレードと予後の関連を解明していくための症例ごとの追跡調査の必要性が指摘されているなど、まだ取り組むべき課題があると述べた。
なお、リンパ腫の組織分類は2002年に定められたヒトのWHO分類を元に作られ、ヒトに合わせて更新されている。今回の講演も、その分類を元にした『Tumor in Domestic Animal 5E』を典拠にしたとしている。チェンバーズ先生は、動物のWHO分類の後継として『Surgical Pathology of Tumors of Domestic Animals』が臓器毎に順次発行されており、将来はこの分類に置き換わるであろうとも述べた。
「第24回日本獣医がん学会」の視聴は2021年7月20日まで。7月6日の夕方からはメインシンポジウムと外科シンポジウム「膀胱全摘出術における術式の工夫と周術期管理 どうすれば合併症を減らせるか?」の総合討論の動画の配信も加わる。