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日本獣医内科学アカデミー第17回学術大会で研究アワード(JVM賞)を受賞した稲永咲耶様にコメントをいただいた。
- 受賞研究テーマ:
- 「イヌの腫瘍におけるDNAミスマッチ修復タンパクの免疫組織化学的解析」
稲永咲耶(山口大学獣医臨床病理学研究室)
このたびは日本獣医内科学アカデミー第17回学術大会の研究アワードにご選出いただき誠にありがとうございます。
本大会はオンライン形式であったとはいえ、私にとっては初めての学会発表であり、とても緊張してのぞみました。そのような中で私の発表がJVM賞をいただけたことを大変嬉しく思っております。
本研究は、腫瘍発生の機序の1つであるミスマッチ修復機能欠損(dMMR)の頻度が高い犬の腫瘍を明らかにすることを目的に取り組みました。今回の発表では、イヌのミスマッチ修復タンパクに交差反応性を有するモノクローナル抗体を同定し、それら抗体が犬の組織を用いた免疫組織化学染色(IHC)で使用できることを確認しました。また、8種類の腫瘍について各15例ずつの合計120例のパラフィン包埋病理組織を用いてIHCを行い、その結果、口腔内悪性黒色腫と肝細胞癌にてdMMRの頻度が比較的高いことを明らかにしました。しかし、対象とした症例の予後を含めた臨床情報の解析までは至っておらず、dMMRとイヌの腫瘍の関係性について更なる検討が必要です。また近年注目されている悪性腫瘍に対する免疫チェックポイント分子阻害療法の効果予測因子としてdMMRの重要性も指摘されていることから、本研究結果をさらに発展させ、イヌ腫瘍に対する免疫チェックポイント分子阻害療法において、実際に効果予測に有用であるかどうかを明らかにしていきたいと思います。
春休みも明け私は今年度で6年生になりました。まずは無事卒業できるよう学部のカリキュラムに真面目に取り組みます。また、来年度からは大学院進学を目指しているので、再び日本獣医内科学アカデミーで獣医学の発展に寄与できるような発表をできるよう研究に励みたいと思います。