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日本獣医内科学アカデミー第17回学術大会で研究アワード(JVM賞)を受賞した谷 章禎先生にコメントをいただいた。
- 受賞研究テーマ:
- 「非再生性貧血を主徴とするミニチュアダックスフントの骨髄疾患における遺伝子発現異常の解析」
谷 章禎(東京大学獣医内科学)
オンライン開催という中で、大会の準備・開催にご尽力いただいた実行委員のみなさま、審査員のみなさま、文永堂出版のみなさまに心より感謝申し上げます。
博士課程の最終学年において、日本獣医内科学アカデミーでこれまでの4年間の博士課程での研究の成果を発表することができたこと、そして栄誉ある賞を頂戴することができたことを大変嬉しく思っております。
私は、博士課程の1年次に東京大学の内科系診療科の診療に参加し、多くのミニチュアダックスフントが骨髄疾患を主訴に来院していることに驚きました。そして、幸運にもこの病気を対象とした研究をさせていただき、免疫抑制療法に反応性のある症例とない症例間で、血小板数など、異なる臨床病理学的特徴を有することを明らかにしました。そして本発表での研究では、同様の症例間で骨髄細胞中のRNA発現プロファイルに変化があること、さらに免疫抑制療法に反応のない症例では人の骨髄異形成症候群に類似した変化が起きていることを明らかにしました。この結果は、犬においても人と同様に骨髄疾患の細分類が必要である可能性を示しています。
今後は他犬種でも同様に骨髄疾患に着目した遺伝子発現変動の研究や、将来的には骨髄疾患に対する新規治療法の開発を目指したいと考えおります。
私はこの春卒業し、臨床獣医師として勤務いたします。このたびの受賞で得た自信を糧に、獣医療の発展に少しでも寄与できるよう今後も努めて行く所存です。