JVMNEWSロゴ

HOME >> JVM NEWS 一覧 >> 個別記事

■動物取扱業者の飼養管理における遵守基準の確定

2021-01-13 10:30 | 前の記事 | 次の記事

第58回中央環境審議会動物愛護部会の様子

環境省は、2020年12月25日、全日通霞が関ビルで第58回中央環境審議会動物愛護部会を開催した。議題の1つは動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律の施行等の在り方について(「適正な飼養管理基準の具体化」に係るもの)で、この案件に関する一連の会議の締めくくりとなる。動物取扱業の営業への影響や動物愛護に直接関連することで関心は高く、傍聴者は50名近くに及んだ。また、2020年10月~11月に行われたパブリックコメント募集では、29,000名以上が意見を寄せた(パブリックコメント検査集計結果)。

新省令の対象は犬・猫を取り扱う事業者全般で、販売業、保管業、貸出業、訓練業、展示業、競りあっせん業、譲受飼養業で、第一種動物取扱業(営利)に限らず、譲渡団体等の第2種動物取扱業(非営利)にも準用される。

基準は省令内のみでなく、今後、自治体職員が指導監督を実施する際のガイドラインとなる「基準の解説書」が作成される。また2021年6月以降に、自治体向けの相談窓口も環境省に設置される。

省令では以下のことが規定されている。

  • 飼養施設の管理、飼養施設に備える設備の構造および規模ならびに当該施設の管理に関する事項
  • 動物の飼養または保管に従事する従事者の員数に関する事項
  • 動物の飼養または保管をする環境の管理に関する事項
  • 動物の疾病等に係る措置に関する事項
  • 動物の展示または輸送に関する事項
  • 動物の繁殖の用に供することができる回数、繁殖の用に供することができる動物の選定その他の動物の繁殖の方法に関する事項
  • その他動物の愛護および適正な飼養に関し必要な事項

今後は犬・猫以外の哺乳類、鳥類、爬虫類の基準も検討される。

12月25日の会議では、規定を満たすケージの供給体制、声帯切除や断尾など動物福祉にかかわる問題の啓発、繁殖を終えた犬が劣悪な環境での多頭飼育になってしまうことへの予防、自治体職員の作業量など多くの意見が出され議論が尽くされ、最終的な結論は新美育文 部会長(明治大学名誉教授)に託された。佐藤友美子委員(追手門学院大学)は、「(これらのことが)皆さんの関心事になって欲しい」と述べた。

2021年1月7日に同部会の審議結果は中央環境審議会に答申され(https://www.env.go.jp/press/files/jp/115389.pdf)、この答申内容を受け、2月に「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理方法等の基準を定める省令」等が公布され、6月1日に「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律」が施行(2年以内施行分)される。