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■特定の遺伝病で発症リスクのある犬の減少を確認 アニコム ホールディングス株式会社

2020-12-23 19:28 | 前の記事 | 次の記事

アニコム ホールディングス株式会社は、2020年12月9日、主にブリーダーに向けた遺伝子検査の提供と、その結果にもとづく適切なブリーディングの提案により「犬猫の遺伝病は確実に減らせる」という結果報告(https://www.anicom.co.jp/release/2020/201209.html)を発表した。同社は2017年より犬猫の遺伝病撲滅に向けた取り組みを実施している。

2017年に本取り組みを開始して以降、のべ21万件の遺伝子検査を実施。その内訳は、犬が7割以上、猫が3割弱となっている。 取り組み当初は賛同するブリーダーやペットショップは少なかったものの、徐々に協力を得られるようになり、現在は月間8,000件近くの検査の受注に至っている。現時点で、検査可能な病気は犬で約50種類・猫で約15種類となっている。その中には、実際に発症リスクの減少に成功している病気も出てきている。

§実例:コーギーの変性性脊髄症(DM)

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークでは、変性性脊髄症(degenerative myelopathy:DM)という遺伝病の発症が多いことが知られている。DMは8歳頃に後ろ足の麻痺から症状がはじまり、数年をかけて進行し、最終的には呼吸器にまで麻痺が及んで死に至る遺伝病。DMを引き起こす遺伝子変異(の少なくとも一部)は明らかとなっていて、コーギーは世界的にその変異を保有する割合が高いことが知られている。

このDMに関して、遺伝子検査と適切なブリーディングの提案を継続してきた結果、着実な成果が出ている。2017年には発症リスクのある個体(=アフェクテッド)の割合が42%であったのに対し、2020年には16%にまで減少した。「近い将来、DMで苦しむコーギーが日本からいなくなる日が来るかもしれない」と同社は期待している。