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■ゾウの適切な飼育を エンリッチメント大賞2020表彰式・受賞者講演会

2020-12-08 14:15 | 前の記事 | 次の記事

受賞者と審査員よる記念写真撮影(動画画面より)

砂が敷き詰められた屋内飼育施設(札幌市円山動物園、動画画面より)

間接飼育とトレーニングにより安全に削蹄を実施(札幌市円山動物園、動画画面より)

市民ZOOネットワークは、2020年12月5日、エンリッチメント大賞2020表彰式・受賞者講演会をオンライン(YouTube)で行った。

進行は理事の綿貫宏史朗先生、審査員を代表して作家の川端裕人さんが挨拶を行い、「高いレベルの受賞者講演を楽しんで、さらに考えていくきっかけにして欲しい」と述べた。

札幌市円山動物園の「21世紀のゾウ飼育の最低条件を寒冷地で実現させる試み」の大賞受賞のほか、4つの取り組みが受賞し(http://zoo-net.org/enrichment/award/2020/index.html)、5つの受賞者講演が行われた。また、一次審査通過の取り組みのポスター発表の特設ページも開設された(http://zoo-net.org/enrichment/award/2020/poster/20201205_poster.html)。

エンリッチメント大賞はエンリッチメントに取り組む動物園や飼育担当者を応援すると同時に、来園者である市民がエンリッチメントを正しく理解・評価することにより、市民と動物園をつなぎ、市民の動物園に対する意識を高めることを目指して、2002年度よりに開始され、今回は19回目。審査員は以下の5名(敬称略、五十音順)。

  •  岩田惠理(岡山理科大学獣医学部 教授)
  •  川端裕人(作家)
  •  幸島司郎(京都大学野生動物研究センター 教授)
  •  佐藤衆介(東北大学 名誉教授/八ヶ岳中央農業実践大学校 畜産部長)
  •  本田公夫(元 Wildlife Conservation Society展示グラフィックアーツ部門 スタジオマネージャー)

大賞をとった札幌市円山動物園のゾウ飼育には「日本のゾウ飼育のスタンダートとなるように期待したい」との審査員からのコメントがあった。

同園はゾウが死亡した後、ゾウ飼育の是非を市民に問いかけた上で、どのように飼育していくかを検討し、充実した屋内飼育施設を設置し、2年前にミャンマーから4頭のゾウを導入し複数頭飼育を開始した。屋内外ともに砂の敷き詰めたほか、水浴ができるプールの設置、採食時間が延長できる給餌法の導入や枝のついたままの餌の給餌、遊び道具の設置などの工夫を行った。また屋内施設には特設の壁を設けて準間接飼育を行い、トレーニングにより削蹄を安全にスムーズに行えるようにするなど動物の健康向上に努めている。砂を敷き詰めた地では導入直後からゾウ達は横臥睡眠を行ったとのこと。講演は「動物園で暮らす動物たちの暮らしが少しでも良くなるように取り組んでいきたい」と締めくくられた。

残念ながら通信の不調で、受賞者講演の途中で配信は途絶えてしまった。この受賞者講演と予定されていたLIVEディスカッションは、すでにYouTubeにて公開されている(https://www.youtube.com/playlist?list=PLsJYwP3kSMjnC4wyfcjsnGVIMaDy1U91z)。(2020/12/10 09:55am 記事更新)

市民ZOOネットワークでは、この活動を継続していくための賛助を求めている(https://award2020.thebase.in/)。