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一般社団法人日本獣医学専門医奨学基金(JFVSS)は、2020年9月6日(日)13:00~18:00、オンライン夏まつり「薬剤の表と裏:適用使用vs.適用外使用」と題したセミナーをLIVEで行った(IBM Video Streamingを使用)。JFVSSは米国の獣医専門医取得の助成プロジェクトを行っている。毎年夏にセミナーを行っているが、2020年はオンラインでの開催となった。340名(うち100名はスポンサー)の参加申し込みがあった。動画運営は共催のVMN(Veterinary Medical Network)が行った。
発表演題と講演者は以下の通り。
- 「痒みの犬に対するオクラシチニブとロキベトマブの使い分け」
- 村山信雄先生(犬と猫の皮膚科)
- 「制吐剤としてだけでないマロピタントの色々な使い方」
- 佐藤雅彦先生(どうぶつの総合病院)
- 「本当に効果のある抗血栓薬を使いたい-リバーロキサバンvs.その他の抗血栓薬」
- 辻本 元先生(東京大学)
- 「悪性腫瘍における分子標的薬の使い分け-イマチニブvs.トセラニブ」
- 小林哲也先生(日本小動物がんセンター)
- 「犬の慢性腸症に対するプレドニゾロンとブデソニドの使い分け」
- 佐藤雅彦先生(どうぶつの総合病院)
- 「各種NSAIDsの使い分け」
- 西村亮平先生(東京大学)
- 「ピモベンダンvs.その他大勢の強心薬」
- 藤井洋子先生(麻布大学)
- 特別企画「たかがコロナウイルス、されどコロナウイルス」
- 石田卓夫(日本臨床獣医学フォーラム)
司会はJFVSSの理事で事務局の井上 舞先生が務めた。まず、辻本 元先生が開会の挨拶をし、JFVSSの活動を紹介した。同プロジェクトに選ばれた先生は米国コロラド州立大学で学び、専門医を取得した後は帰国し、日本の臨床獣医学の発展に寄与することが求められている。現在、今回の講演者でもある佐藤雅彦先生が専門医となり活躍されている。佐藤先生は東京大学の教員を務めた後、2020年9月よりどうぶつの総合病院に勤務している。また、徳永 暁先生と福島健次郎先生が米国で励んでいる。徳永先生は来年2月に専門医試験を受ける予定。また、新たに東 一志先生の派遣も決まっているが(https://buneido-shuppan.com/jvmnews/article/jvm20200217-002)、コロナウイルス感染症禍で渡米が遅れている。同プロジェクトは5名の専門医育成を目標としている。
佐藤雅彦先生は2講演を担当されたが、マロピタント(ゾエティス・ジャパン株式会社のセレニアが動物薬として認可されている)に関する講演では、同薬は(1)制吐剤としては効果・コストから第一選択薬である、(2)抗炎症、鎮痛では犬・猫での効果の報告はなく推奨しない、(3)麻酔濃度抑制効果は認められるが、臨床的な有用性が現状では不明、(4)鎮咳効果も認められ、投薬回数や副作用も少なく使用しやすいため、第一選択薬として使用することが多いと述べた。
石田先生の講演では、SARS-CoV-2の性状、ワクチン、感染様式、感染の危険度、マスクの効果、フェイスシールドの効果、病原性の変異、重症化との関連性、免疫の有効性、有望な治療薬などをごく最近の研究発表をもとに紹介し、感染しないために気を付けることや終息の見解を示した。
最後に小林哲也先生が閉会の辞を述べた。
講演内容の詳細については、見逃し配信をご覧ください。見逃し配信は1か月間配信される予定。期間中は参加申し込み可能。