JVMNEWSロゴ

HOME >> JVM NEWS 一覧 >> 個別記事

■猫の身体活動・睡眠の評価にペットIoT「プラスサイクル」が有用 株式会社日本動物高度医療センター

2020-08-05 16:24 | 前の記事 | 次の記事

Plus Cycleを装着

Plus Cycle

株式会社日本動物高度医療センターは、日本大学獣医外科学研究室の枝村一弥准教授、山崎敦史大学院生との共同研究「猫の身体活動と睡眠の質の評価におけるPlus Cycle(プラスサイクル)の有用性検証」に関する論文が、2020年7月31日14時(米国東部標準時)にPLOS ONE(プロス・ワン)誌に掲載されたと発表した(https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0236795)。論文のタイトルは「Utility of a novel activity monitor assessing physical activities and sleep quality in cats(猫の身体活動と睡眠の質を評価する新しい活動量計の有用性)」。

猫の加齢に伴う身体活動・睡眠の質の変化をウェアラブル活動量計で測定・評価した報告は、同研究が世界初。

プラスサイクルは犬・猫用の活動量計で、活動量・ジャンプ回数に異常があるときはアプリに通知される。日本動物高度医療センターで販売されており、価格は9,000円(税別)、アプリ利用料は無料(https://pluscycle.jp/)。小型で軽く小型犬や猫にも装着可能(2.7×0.9cm,9g)。データはかかりつけ動物病院にも共有可能で、全国の800病院がプラスサイクル対応病院に登録されている。日本動物高度医療センターでは各動物病院との連携で、異常の早期発見や予防動物医療を推進している。

プレスリリースされた研究論文の概要は以下のとおり。

§Plus Cycleの測定精度

これまでに多くの研究で使用されてきた研究用活動量計ActicalとPlus Cycleを同時に猫に装着し比較したところ、2つのデータには強い相関があり実際の猫の行動を正確に反映していた。これらの結果から、Plus CycleはActicalと同等の精度で猫の身体活動を評価でき、治療効果の測定などにも利用できる可能性が示唆された。

§加齢に伴う猫の活動変化が明らかに

健康な猫61頭にPlus Cycleを装着して活動量・ジャンプ数を測定したところ、高い精度で身体活動を定量化し、活動状態と安静・睡眠状態を判別する上でも非常に精度が高いことが認められた。また、加齢に伴い活動量とジャンプ回数は有意に減少し、その一方で、安静・睡眠時間は有意に増加することが明らかとなった。

§ジャンプ回数が重要

運動器疾患に伴う身体活動の異常を検出するには、加齢による正常な変化を多面的に把握する必要がある。今回の研究において、ジャンプ回数も加齢に伴い有意に減少することが認められたことにより、運動器疾患の早期発見には、活動量変化に加えジャンプ回数も新たな指標として重要であることが明らかとなった。

§夜間の睡眠を評価することで、猫の「痛み」が見えてくる

猫は加齢に伴い睡眠時間が増加することが知られているが、今回の研究において、加齢に伴い「昼間」の睡眠時間は増加したが、「夜間」の睡眠時間の推移はほぼ一定であることが明らかとなった。

ヒトや犬では痛みや様々な疾患で夜間の睡眠が阻害されることが知られており、今後、夜間の睡眠の質を定量的に評価することによって、猫の「痛み」や疾患が早期発見できる可能性が示唆された。

§結論

Plus Cycleは、猫の身体活動と睡眠の質を正確かつ客観的に評価できることが認められた。特にジャンプ回数や安静時・睡眠時間を測定することにより、猫の健康管理に活用できることが示された。