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教育会社のMON株式会社は愛知県知多郡美浜町の愛知ヤギ農場の山羊40頭を用いて、山羊が人間に与える良い影響として唾液中に含まれるα-アミラーゼを調査し、その結果を発表した。その結果は、山羊を見ているだけで被験者のストレス値が平均70%も解消されたというものであった。同社は東海地域を中心に山羊を介在させた動物介在教育を予定しており、児童から企業まで幅広い対象者へ教育を実施していくとのこと。
§調査目的
山羊が人間に与える影響(とりわけ良い影響)について感覚や主観ではなく、科学的かつ数値で立証することを重要な目的とした。
§検証方法の検討
人間の生理反応を分析する対象となっている物質の中から「調査分析に長い期間を必要としないこと」「研究所や研究者に委託しなくとも測定できること」「分泌物を採取しやすく被験者の負担が軽いこと」「費用が抑えられていること」「横展開が可能な再現性が高いこと」の5点を選定基準として、唾液中に含まれる消化酵素のα-アミラーゼを非侵襲で測定できる方法として採用。
§実施概要
- 期間:2020年4月
- 被験者:6名(男性4名、女性2名)、平均年齢31.6歳、以下、A~Fと表記
- 測定対象:唾液中に含まれる消化酵素のα-アミラーゼ
- 測定装置:酵素分析装置「唾液アミラーゼモニター」、専用唾液採取シート「測定チップ」
- 手順:平常時から山羊と接触するまでのプロセスを10シーンに分け、それぞれの被験者に複数回の測定を行うことで唾液アミラーゼの活性値に生じる個人差を調整。この中で調査結果に有意性が確認されたシーンは次の通り。
- 臥床(10分間、ベットで安静にした状態)
- 座位(10分間、椅子に静かに座った状態)
- テスト(10分間、読み書き計算などのテストに取り組んだ状態)
- 山羊視認(10分間、フェンス越しに触らず見るだけの状態)
- 山羊触れ合い(10分間、なでる・だっこする・餌を与えるなどを行った状態)
- 測定結果の評価:
- 0~30(KIU/L)ストレスなし
- 31~45(KIU/L)ストレスややある
- 46~60(KIU/L)ストレスある
- 61~ (KIU/L)ストレスかなりある
§結果
A~Fとも数値(KIU/L)が高く、ストレスを感じたシーンは、座位またはテストを実施した時。各被験者のストレス耐性や基礎学力、得手不得手に左右されるところがあり、必ずしもテストを実施した後が高くはならなかった。
被験者の数値(KIU/L)が低く、ストレスを感じていない(すなわちリラックスしている)シーンは、山羊視認と山羊触れ合いの時であった。被験者DとFの数値(KIU/L)は臥床時が一番低い結果となった。
ストレスの変化をグラフ(ビジュアル)ではなく、定量的に示すために以下の計算式にあてはめて算出した。
<ストレス変化率の計算式>
変化率(%)=(活動前測定値(KIU/L)-活動後測定値(KIU/L)÷活動前測定値(KIU/L)×100
「山羊視認」時の結果は次のとおり(Copyright 2020 All rights reserved by 愛知ヤギ農場)。
- A:76.1%
- B:85.1%
- C:54.8%
- D:58.1%
- E:59.0%
- F:90.4%
- 平均:70.7%