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■アメリカンショートヘア種の全ゲノム解読に成功

2020-05-25 13:58 | 前の記事 | 次の記事

ゲノム解読を行ったアメリカンショートヘア種のイエネコ

アメリカンショートヘア種とアビシニアン種のゲノム構造の違い。各グラフの番号は19本の染色体番号を示す。赤丸はゲノム構造が特に異なっていると考えられる領域で、横軸は染色体の位置、縦軸は遺伝的な違いを示す。

ゲノム獣医療では、ゲノム情報に基づいて個体の体質に適した治療を行うこと可能になる。

アニコム先進医療研究所株式会社は、2020年5月20日、情報・システム研究機構国立遺伝学研究所、公益財団法人・かずさDNA研究所および香港中文大学(香港)との共同研究により、アメリカンショートヘア種のイエネコの全ゲノム解析を行ったと発表した(https://www.anicom-med.co.jp/news/20200522.html)。BioRχivでオンライン発表された(https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.05.19.103788v1)。

研究グループはアメリカンショートヘア種のイエネコの全ゲノム解析を19本の染色体レベルでほぼ全長、高精度で行うとともに、既存のアビシニアン種のゲノム構造との比較を行った。

これまでイエネコのゲノム配列は、遺伝的に均一なアビシニアン種でのみ調べられており、また、未解明のゲノム構造もあることから、利用できる塩基配列情報が限られていた。

今回の研究で、アメリカンショートヘア種の全ゲノム配列が染色体レベルで明らかになったことで、アメリカンショートヘア種に特徴的な疾患や形質に関わる遺伝子の研究だけでなく、ネコの健康を守るためのゲノム獣医療に繋がる研究を一層進めることができる。

解読した全ゲノム上には23,119個の遺伝子があることが分かった。

アメリカンショートヘア種とアビシニアン種との配列の比較により、両者は染色体の一部で異なるゲノム構造をもっていることがわかった。2つのゲノム構造の違いをさらに詳しく調べることで、アメリカンショートヘア種で見られる肥大型心筋症などの好発する遺伝病と関連した遺伝子や、品種の成り立ちに関する新たな知見を得られることが期待される。

この研究により得られた情報は、データベースCats-I (https://cat.annotation.jp/) およびバイオ系のプレプリントサーバーbioRχiv(バイオアーカイブ)*5で公開されている。