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■新刊 『動物の衛生 第2版』

2020-03-11 15:03 | 前の記事 | 次の記事

『動物の衛生 第2版』

  • 編集:末吉益雄、髙井伸二
  • A5判、ハードカバー、価格(本体価格4,400円+税)
  • 発行元:文永堂出版

畜産系の学生の教科書である『動物の衛生』が19年ぶりに改定され『動物の衛生 第2版』として上梓された。

新興、再興の感染症など家畜疾病が大きな問題となっている現在では、飼養衛生管理は、家畜疾病を防ぐための大きな役割を担っており、その重要性が特段に高まっている。したがって動物衛生学の基礎知識は畜産に関わる全ての人にとって必要になっていると言え、動物衛生学の基礎をまとめた教科書が待たれていた。

編者の2名は獣医系大学の教員であり、本書には動物疾病の記載が多く、上述の社会の情勢や要請とも合致するものである。

本書冒頭総論に続いて、唯一の基礎学問的なこととも言える家畜の免疫機構がひとつの章として第2章にまとめられている。家畜の免疫機構の入門として過不足なくまとめられているといった感がある。第3章以降、衛生管理、疾病、生産物の安全性と本書のメインストリームに話が展開していく。さらに、関連法規、野生動物・展示動物の衛生と続き、終章には、環境衛生が記載されている。関連法規の章では、畜産に関わる法規が分野ごと(行政組織、家畜衛生対策、価格対策、流通対策…の13区分)に用語集のように簡明に記載されており、各区分の中で経時的にどう法律が作られていったかもわかり、時代の変遷に思いを馳せることができる。

総勢18名の獣医系、畜産系の教員がまとまり作り上げた本書は、大学のみならず、専門学校、農業大学校、そして農業系高校でも活用できるであろうし、そう期待したい。初版から改訂第2版まで19年を要してしまったことは時間が空き過ぎたとも言えるが、その間に講じられてきた様々な畜産・衛生分野の対策を踏まえると、頃合いのよい、時宜にあった出版とも言える。

表紙写真の手に鼻を寄せる豚がとても愛らしく、また敷料がきれいで印象的である。