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WSAVA、2019年12月3日発信
翻訳:WSAVA the Translation Committee メンバー 安田隼也(獣医師)
ワンヘルスにおける伴侶動物の役割に関するWSAVA認定のプログラム
世界小動物獣医師会(WSAVA)のOne Health Committee(OHC)は、ワンヘルスにおける伴侶動物の役割に焦点を当てた初の認定プログラムを開始した。ワンヘルスの基本的な考え方は産業動物、野生動物、環境、そして人の健康との関係や互いが及ぼす影響に関する事柄であると十分に理解されているものの、WSAVAは顕著に拡大している人と伴侶動物のワンヘルス上のつながりは未だに十分認知されていないと考えている。WSAVAは、獣医師と医師の双方にとって、新しいオンラインのコースによって「知識のギャップ」を埋め合わせる一助になることを願っている。
WSAVAの会員に無料で提供する本プログラムの構成はMichael Lappin先生(DVM,PhD,DACVIM,米国コロラド州立大学 Center of Companion Animal Studies所属)が委員長を務めるWSAVA OHCが主導している。最終的には伴侶動物に関わるワンヘルスについてあらゆる側面から触れる20の講演で構成される予定である。講演は毎週追加されており、20講演が出そろうのは2020年前半を予定している。各講演の最後には評価が行われ、全20講演の評価をこなした場合、院内に掲示できる修了証が発行される。一部の国ではこの講演がオンラインの卒後教育認定単位として認められるだろう。
WSAVAのOHCは伴侶動物が人の社会に与える影響の大きさと拡大を続けていることを知ってもらうためのプログラムを始めることが重要であると感じていた。西欧諸国において高次元の動物の所有意識があることに加え、動物を飼うことが一般化していることや、「伴侶」動物と考えられる動物が現在では多様化していることが、南米やアジアを含めた地域で急激に広まっている。アフリカの一部の地域では、犬は時に使役犬として、時に伴侶動物として、日常的に飼われている一方、世界の多くの地域では「野良」犬や猫は地域社会に飼われて人の社会との接点をもつことがある。ワンヘルスの観点では、人と伴侶動物のきずなと人と動物の共通感染症が伝搬する可能性はそれに伴って増えていく。
認定プログラムについて、Lappin教授は以下のコメントを寄せている。「本プログラムの講師たちは伴侶動物のワンヘルスの分野で真の専門家である。WSAVAは講師たちが本プログラムのためにボランティアとなってくれたことに感謝する。WSAVAのメンバーがこの内容について楽しく学び全ての講演を修了しWSAVAワンヘルス臨床医の認定を受けることを望んでいる。」
WSAVAの名誉財務担当およびWSAVA OHCの創設会長であるMichael Day名誉教授は以下のように述べている。「OHCは何年にもわたってこの魅力的な新プログラム開始に時間をかけてきた。このプログラムでは人と動物の絆、人と動物の共通感染症、比較・橋渡し臨床研究、家庭内暴力と動物虐待、そして犬の狂犬病、リーシュマニア症、糖尿病などの特定のワンヘルスの問題などを扱う。」「すべてのWSAVAのメンバーがこのプログラムに参加し‘WSAVAワンヘルス臨床家’の認定を受けることを願っている。更にこのプログラムは医師にとっても有意義で両者の関係強化につながることを望む。」
紹介ビデオを含めたプログラムの詳細は以下から見ることができる。
WSAVAのOHCは世界のワンヘルスの協議事項において小伴侶動物と人の関わり合いが顕著であることを確認するために設立された。委員には獣医師や医師がおり、いずれも国際獣疫事務局(OIE)とアメリカ疾病予防管理センター(CDC)を代表して参加している。OHCの仕事はHill's Pet Nutition、Mars Petcare、MSD Animal Health、Purina Instituteからの援助を受けている。
WSAVAは113の加盟団体を通じて世界中の20万人以上の獣医師を代表し、伴侶動物医療のレベル向上に努めている。その主な活動は、疼痛管理、栄養学、ワクチネーションなど獣医療で主要な分野におけるWSAVAのガイドラインの作成や世界で伴侶動物のケアに影響を及ぼす重要な事柄について働きかけていくことである。
※「ワンヘルス」や「ワンメディシン」は医師および獣医師が臨床、動物種をまたぐ疾病の監視と管理、教育、そして疾病の病原体、診断、治療、ワクチン接種に対する研究での協力体制を確立し統一化を図ることを目的としている。この考えには人口、畜産動物、野生動物、人口に影響を与える地球温暖化といった環境の変化(「環境の健康」)などを含む。
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