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■OIE総会に向けての日本の提言

2019-12-20 13:00 | 前の記事 | 次の記事

OIE連絡協議会の冒頭にて。向かって左側は事務局で、右側は委員。立って説明しているのは会議の進行を行った動物衛生課国際衛生対策室長の沖田賢治先生。

農林水産省動物衛生課は、12月18日、「令和元年度 第2回国際獣疫事務局(OIE)連絡協議会」を同省内会議室で行った。

協議会は動物衛⽣等に関する国際基準であるOIEコードの改正案等について、消費者団体や産業界等の関係者との意⾒交換を行うためのもので、年2回開かれている。

OIEは毎年5月に総会が行われ、動物衛生等に関する国際基準が制定、改訂される。OIEの規定は各国の家畜衛生、飼養管理基準等に反映され、貿易に大きな影響を与える。また2月と9月にはコード委員会が開催され、具体的で詳細な検討が行われる。OIE連絡会議で出された意見を踏まえて、農林水産省は2月のコード委員会に意見を提出する(12月中の予定)。

今回の連絡協議会での意見交換の項目は、次回OIE総会で採択が予定されている以下のものなど。

  • アニマルウェルフェアと採卵鶏生産システム
  • 鳥インフルエンザ
  • 小反芻獣疫
  • 豚コレラ

<アニマルウェルフェアと採卵鶏生産システム>

2017年9月から改訂の作業が始まっている。今までの経緯の中で、2019年9月に行われたコード委員会で日本の主張が概ね取り入れられ、施設の場所、設計、構造、設備などの規定が寛容な表現に訂正されたり、止まり木や敷料が必須のものではなくなった。この問題は従来より連絡協議会でも意見交換がなされてきたが、現在の改訂案に日本からの意見が取り入れられた。委員からは「(アニマルウェルフェアと世界の飼養形態の)バランスのとれたよい内容となっている」との評価があったが、もっと行動学に即した飼養形態を考慮していかなければいけないという意見もあった。事務局(農林水産省)は、「様々な飼育形態を認めていくという観点ではなく、動物の反応を考えた、すなわち元気である、死亡が少ないということを指標にして、飼育環境のみにとらわれることなく柔軟な立場で本章を改訂していこうとしている」と述べた。

<鳥インフルエンザ>

2018年から改訂の作業が始まっている。低病原性鳥インフルエンザ(LPAI)を章の対象から除外し、清浄ステータスに影響しないようにするということが大きな案件。そして、もう1つ、裏庭養鶏のうち「同一世帯で飼養され、当該世帯内で消費される鳥については家禽とみなさない」という案件。家禽におけるLPAIは高病原性鳥インフルエンザに変異する可能性があることを考慮して日本は次の意見を出す予定で、その内容は「妥当である」と連絡協議会委員よりのコメントがあった。

  1. 家禽のLAPIは引き続き通報の対象とする
  2. 裏庭養鶏におけるLPAIについても引き続き通報の対象とする
  3. 家禽の対象から除外する裏庭養鶏は、家禽農場と一切疫学的関連がないことを確保する

<小反芻獣疫>

2019年2月より改訂の作業が始まっている。清浄国はワクチン接種動物を輸入していないということを規定する予定。なお、日本が羊を輸入しているニュージランドとオーストラリアはともに同疾患の清浄国。

<豚コレラ>

2017年から改訂の作業が始まっており、2019年9月のコード委員会で3次案が出されている。構成の大きな変化はない。清浄国要件の変更や発生・封じ込め地域から清浄地域内にあると畜場に直行する豚に関わる基準(と畜場のある地域のステータスを落とさないようにする)などが予定されている。

その他に、2020年5月のOIE総会での採択される項目ではないが、現在進行している案件として、牛海綿状脳症や馬インフルエンザについても話題として取り上げられた。

農林水産省「OIE連絡会議」のwebサイト
http://www.maff.go.jp/j/syouan/kijun/wto-sps/oie/oie7.html

OIEコード改正案
https://www.oie.int/standard-setting/specialists-commissions-working-ad-hoc-groups/code-commission-reports/meetings-reports/