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■世界小動物獣医師会(WSAVA)プレスリリース 動物用医薬品入手のキーとなる規制の集約化

2019-11-15 14:02 | 前の記事 | 次の記事

WSAVA、2019年10月18日発信

翻訳:WSAVA the Translation Committee メンバー 安田隼也(獣医師)

「動物用医薬品入手のキーとなる規制の集約化について:世界的な獣医師の団体の表明」

11の世界的な獣医師の団体は見解表明(参照:JVM NEWS jvm20191115-002)に署名した。この表明では、規制を集約・一本化を促進することで、世界中の獣医師が動物の治療に必要な医薬品を入手可能にすることを謳っている。世界小動物獣医師会(WSAVA)(https://www.wsava.org/)が主導したこの表明は、世界中の伴侶動物獣医師が重要な動物用医薬品を現在よりもさらに均しく入手可能にするための最新の活動報告である。

東欧、アフリカ、アジアを含む地域において規制が原因で動物用医薬品の入手が制限されていることは、長年の問題であり、動物に対して最適な治療を行おうとする多くの獣医師の努力を阻害している。時として、例えば疼痛を適切に管理するために必要となる薬のように必須と言えるものであっても入手困難な場合があり、そのために甚大で不必要な苦しみを被っている。

WSAVAは最近、Therapeutics Guidelines Group/治療ガイドライングループ(TGG)を発足させた。同グループはこの分野における先駆者になり、動物用医薬品をより容易に入手できるように活動することを目的としている。同グループの新しい見解表明では規制に関する問題の啓発と、政府や規制当局に行動を促す目的で作成されている。本表明は以下の団体から支持を受けている。

  • The World Veterinary Association
  • HealthforAnimals
  • The Federation of European Companion Animal Veterinary Associations
  • The Commonwealth Veterinary Association
  • The Federación Iberoamericana de Asociaciones Veterinarias de Animales de Compañía
  • The Federation of Asian Small Animal Veterinary Associations
  • The Federation of Veterinarians of Europe
  • The Federation of Asian Veterinary Associations
  • The Fédération des Associations Francophones Vétérinaires pour Animaux de Compagnie
  • The Caribbean Veterinary Medical Association

本表明は、2018にWSAVAから出された見解表明に続くもので、動物用医薬品の入手を制限している要因やこれらが起こす動物の健康や福祉に対する著しい影響についてまとめている。また、上記に挙げたような獣医師たちからの幅広い支持を受けている。

2016年から2017年にかけてWSAVAが行ったメンバーに対する調査では、回答者の75%は動物量医薬品が利用できないことで動物に対して必要な措置をとれず、20%はこの問題が高い水準の獣医療を提供することに甚大な影響を及ぼしていると回答した。2019年7月にカナダのトロントで行われたWSAVAの年次大会において、WSAVAのTGGは世界の獣医師団体は利害関係者を集めて会合を開き、解決策となりうるものを議論した。新しい表明はこの会合の成果の一つである。

WSAVAの元会長であるDr.Walt Ingwersenはコメントの中で以下のように述べた。

「動物の治療手法を利用しづらい状況は世界中の多くの伴侶動物獣医師にとって危機的な状況である。たいへん残念であり、世界中の全てとは言わないまでも多くの伴侶動物が適切な治療を受けられないことを意味している。こうした状況は早急に改善されなければならず、獣医師同士が協力体制を作ることで、議論を深めている。」

「数多くの問題が動物用医薬品の流通に影響を与えている中で、動物用医薬品の審査過程が様々な地域で二重性を持っていることが最大の問題であり、私たちの規制の集約化に関する共同基本方針表明(Joint Position Statement on Regulatory Convergence)が最も注力している分野である。WSAVAのTGGは動物用医薬品の入手と利用に関わる問題に精力的に取り組んでいて、近いうちに臨床獣医師に役立ち、獣医師の団体がそれぞれの政府や規制当局に対して働きかけをしやすくなる実用的なツールの第一弾を発表する予定である。」

「この動きをサポートするため、私たち世界的な獣医師の団体は、世界的なレベルでの変化を望み、また私たちの見解表明は行動を起こすための理解と意欲を効果的にもたらす。」

「本件について、他の獣医師の団体が私たちと同じ考えに立ってくれたことに謝意を表する。そして協調関係を密にすることですべての獣医師が動物の治療に必要な医薬品を手に入れられるようにしたいと考えている。」

WSAVAは113の加盟団体を通じて世界中の20万人以上の獣医師を代表し、伴侶動物医療のレベル向上に努めている。その主な活動は獣医療で主要な分野におけるWSAVAのガイドラインの作成や世界中で伴侶動物医療に影響を与える事柄の重要性を知ってもらうことである。

より詳しい情報をお求めの場合:Rebecca George, George PR,
Tel:01449 737281/07974 161108