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■長谷川大輔先生 教授就任祝賀会 てんかん外科の幕開け

2019-09-27 13:15 | 前の記事 | 次の記事

写真 長谷川大輔先生

写真 祝賀会発起人の先生方に謝辞を述べる長谷川大輔先生(右)。発起人の先生方の列で左から7番目が寺門俊博先生

 日本獣医生命科学大学の長谷川大輔先生の教授就任祝賀会が、2019年9月22日、東京・ANAインターコンチネンタルホテル東京で盛大に開催された。長谷川先生は4月1日に獣医放射線学教室の教授に就任した。祝賀会には、同大学の獣医放射線学教室や獣医外科学教室の関係者、獣医神経病学会の先生方などがお祝いにかけつけた。

 まず、発起人代表の寺門俊博先生(名古屋市・てらかど動物病院)が挨拶を述べた。寺門先生は長谷川先生の同級生。学生時代の思い出を愉快に語った。次いで共同研究を行った旭川医科大学名誉教授の田中達也先生の音頭による乾杯が行われ、和やかに宴が始まった。

 獣医放射線学教室の大学院生らが長谷川先生の業績をスライドにまとめ、桑原孝幸先生が披露した。長谷川先生は獣医学におけるてんかん外科の第一人者。披露された研究の足跡を紹介する。

 長谷川先生は1994年に大学院に進学(画像診断学専攻)。「脳神経外科の研究に取り組みたい」と原 康先生や織間博光先生と研究テーマを模索するなか、難治性てんかんの症例に遭遇したことをきっかけにてんかんの外科治療についての研究を開始し、それが博士論文のテーマとなり、やがてライフワークに発展していった。犬のてんかんモデル作成を目指して、旭川医科大学でラットのカイニン酸モデルや深部電極の作成方法を学ぶなどして研究を進めた。2000年に日本獣医生命科学大学にMRIが導入されたこともあり、「カイニン酸投与後数時間後から拡散強調画像のみで異常所見が確認されることを発見。「新規てんかんモデル動物の開発とその確立」、「自然発症性てんかん猫家系の発見とコロニー化」、「海馬および扁桃核からの発作開始を同定」などの多くの業績をあげ、英文学術誌に発表していった。武田科学振興財団生命科学研究奨励、文部科学省科学研究補助金の若手研究B・若手研究A・基盤Aなど多くの研究助成も獲得してきた。2019年には、てんかんの初の外科治療を行った。

 これらの業績に対して2011年に日本獣医生命科学大学同窓会の協賛事業である日本獣医生命科学大学の若手研究者に贈られる梅野信吉賞、2016年に日本てんかん学会の最高賞であるJUHN AND MARY WADA奨励賞、てんかん治療研究振興財団2018年度研究褒賞を受賞した。

 また、2016年にはそれまでの研究の集大成といえる論文「Diagnostic techniques to detect the epileptogenic zone: Pathophysiological and presurgical analysis of epilepsy in dogs and cats」がThe Veterinary Journal誌(review, 215: 64-75, 2016)に単著で掲載され、その年の最優秀論文賞のThe George Fleming Prizeを日本人として初めて受賞した。

 麻布大学の齋藤弥代子先生とともに国際獣医てんかん特別委員会のメンバーを、また日本てんかん学会の評議員、アジア獣医内科学会の神経学のde Facto appointed Diplomateなど多くの要職を務めている。

 長谷川先生は挨拶で「子供の頃から目立ちがりで、他人のやらないことをやりたがった。そして脳外科に出会い、今がある。好き勝手ができたのはよき指導者や研究をサポートしてくれた学生、大学院生がいてくれたから」と謝意を述べた。また新しいこともやっていきたいがそれだけでなく、後進の指導にもより力を入れていくと語った。日本獣医生命科学大学では、生命科学研究センター設立の構想があり、その中にAnimal Brain Research Center(ABRC)を作りたいとも述べた。

 祝賀会は諸角元二先生の音頭による万歳三唱でお開きとなった。