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ペットの予防医療の普及・啓発活動を展開する獣医師団体Team HOPE(代表 太田亟慈先生)は、2019年9月11日、恵比寿・ザ・ガーデンルームで「シニアペットの健康を考える」をテーマにプレスセミナーを行った。Team HOPEでは10月13日の「ペットの健康診断の日」に合わせて様々なイベントを予定しているが(関連記事https://buneido-shuppan.com/jvmnews/article/jvm20190408-003)、それに先立ちメディアやSNS等で発信力のある飼い主を対象にプレスセミナーが開催された。セミナー内容の概要をTeam HOPEの活動をサポートするロイヤルカナン ジャポンが発表した。以下に発表内容をまとめる。
太田亟慈先生は、挨拶の中で、犬も猫もこの30年で平均寿命が2倍以上に延伸(現在の平均寿命が約15歳)していることに触れ、高齢化している犬と猫のために年に2回は健康診断を受けること、また健診の質と深さも大切であることを話しながら、Team HOPEで統一している健康診断の項目や、愛犬の健康管理のため獣医師とペットオーナーのコミュニケーションをスムーズにする「みまもり手帳」(関連記事https://buneido-shuppan.com/jvmnews/article/jvm20190124-001)など、Team HOPEの様々な取り組みを紹介した。
次いで尾形庭子先生(米国パデュー大学准教授、動物行動学専門医)がシニアペットの健康のため、家族と動物病院とのチームワークの大切さについて講演。「ペットもシニアになると心身の負担の度合いは変わる。例えば同じ体重であっても(ペットのライフステージによって)膝にかかる負担は異なる。ストレス耐性も低下するため、急な環境変化への順応性も低くなる。また、高齢になると認知機能不全症候群(CDS)などによりさまざまな症状がみられる場合もある。人間に比べ寿命が短いペットは、半年に1回、もしくは気になる症状がある場合は3か月に1回は動物病院で診てもらうことが大切である」と述べた。また、日常生活の中で様々な変化がみられるシニアペットについて、「シニアペットのケアは、チームワーク。獣医師や看護師、病院にこまめに相談して欲しい。例えば、病院に連れていくこと自体がペットのストレスになり来院の妨げになるのであれば、そこは動物病院との会話のきっかけになる。ペットの高齢化により、日本の獣医療は大変進歩している。薬もペットのライフステージに合ったものを選択することができる。ただ、病院で診察する時間は限られるので、家族からのペットの日常の情報は大事である。もし、相談してもあまり話を聞いてもらえない、などがあるようなら、もっとシニアケアに力を入れている病院に代えるなどの判断も必要」と、動物病院へ相談することの大切さを語った。
ペットが高齢になっても元気に暮らせるよう、家族がペットに対し日常で行える「ふれあいエクササイズ」を今回Team HOPEが考案。Team HOPE副代表の上條圭司先生(ゼファー動物病院 院長)とD&C Physical Therapy 院長の長坂佳世先生が登壇し、寝たきり予防や健康寿命延伸につながるマッサージとストレッチ、筋トレを紹介。会場に来ていた飼い主と犬たちも実践した。「ふれあいエクササイズ」の詳細はTeam HOPEのHPでも動画で紹介している(http://teamhope-f.jp/exercise.html)。
また質問セッションが設けられ、シニアペットのケアに対する様々な質問が寄せられた。例えば、「歩くときに足を地面にひっかけるようなしぐさをする。何か足に問題があるのだろうか」という飼い主からの質問には、「前か後ろかで原因は変わるが、よくあるのは後ろ足。特に、小型犬は膝が緩い場合が多い。家で触ってあげてチェックすることが大切。足を引きずったりする場合は、早めに運動器疾患に精通している先生に診てもらうことが大事」(太田先生)というアドバイスがあり、また、「シニアペットの健康寿命は健康診断を受けることで伸びるため、中年期(約7歳)以降は年に2回は受けて欲しい」と健康診断の大切さをあらためて強調した。良いホームドクターの見つけ方については、「まず近くの病院へ。気軽に相談することが始まり。マメに連れて行き、よく相談することが大切。5~10年と長く付き合ううちに、普段の状態もよくわかるようになり、信頼関係もできていく」(太田先生・上條先生)と、ペットと飼い主にとって大切な病院選びについてもアドバイスした。
最後に、Team HOPE副代表で王禅寺ペットクリニック代表の川瀬英嗣先生は、Team HOPEの取り組みについて「今まで決まっていなかったペットの健康診断の項目を統一し、基準を作ろうということで始まった。現在、全国の1,600件近い病院が加盟しているが、今後もさらに増やし、全国の先生方と足並みを揃えて健康診断を行い、またペットとのふれあいの場所を増やしていきたい」と述べた。