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SBIいきいき少額短期保険株式会社は、2019年8月26日、マイクロチップに関するアンケート結果を発表した。 犬・猫の飼い主200名に対してマイクロチップについてのアンケート調査を実施した。発表内容には東京大学名誉教授の佐々木伸雄先生のコメントが付せられた。
アンケート結果の概要は以下の通り。
- 犬と猫飼育者におけるマイクロチップの認知率は90.5%。
- ペット販売業者へのマイクロチップ装着義務化の認知率は54.5%。一般の飼育者への努力義務認知率は48.0%。
- マイクロチップ装着義務化への賛成は69.5%。賛成の理由で最も多いのは「迷子になったときの身元確認が容易」93.5%。反対の理由で最も多いのは「かわいそう」50.8%。
- 現在マイクロチップを装着している飼育者は26.5%。
- 装着済みのうち、「飼ったときにマイクロチップが装着されていた」が43.8%。
- 今後マイクロチップの装着意思を明確に持っている飼育者は9.8%。
- マイクロチップで実現したら良いと思うもの第1位は「GPS」で54.0%。
- §アンケート調査の概要
- 調査対象:犬・猫の飼育者
- 調査方法:インターネットリサーチ
- 調査期間:2019年8月2日~2019年8月7日
- 有効回答:犬飼育者100名、猫飼育者100名 合計200名
佐々木伸雄先生コメント
自然災害時には、可能であれば同行避難を行いましょう。あらかじめ自治体で同行避難の可否や注意事項などを確認しておくとよいでしょう。マイクロチップは、いわばペットの確実な身分証明書です。また、一度装着すればはずれてしまうことはないため、同行避難ができなかった場合、また飼い主からはぐれてしまった際に飼い主を探し出す有力な手段となります。
現在は人と動物の共生社会です。マイクロチップの装着は、迷子や盗難にあった動物の保護時に身元確認で役立つほか、動物の野良化防止にも役立ちます。野良化した動物は病気も多く、一般に短命です。また、そうした動物が周囲の人に及ぼす危害や迷惑などが地域社会で問題となることも多くなっています。これらの問題を減らすためには、野生化した動物にエサをあげないことや不妊手術等で望まない繁殖を防止することが重要だと思います。
一方、ペット保険への加入によって、ペットにもしものことがあった際には治療選択の幅が広がります。しかし、日本におけるペット保険の加入率はまだ低いのが現状です。今後加入率が高くなれば、高額獣医療を対象とする保険など、様々なタイプの保険が誕生すると思われます。そうなると獣医師も安心して様々な治療法を勧めることができます。後悔のない、納得できる治療法の選択は、飼い主の満足感や安心につながるのではないでしょうか。
獣医界では、20年以上前よりマイクロチップの装着や義務化について強く勧めてきました。今回の犬・猫販売業者へのマイクロチップの装着義務化がそのスタートラインです。今後はマイクロチップに入れるべき情報や内容について、学会・会議などで議論していくことになると思います。
今回の「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正では、一般の飼い主や、保護された犬や猫の譲渡の際の装着は努力義務となっています。今後マイクロチップが広く普及するためには、飼い主にとって何がメリットで、どのように役立つかがわかる必要があります。
現在はペットの身元がわかるのみですが、今後は、信頼できるサーバー上でデータが一元管理されることを期待しています。その上で、ペットの身元だけでなく、過去の病歴や治療歴、ワクチン歴などの情報があれば、獣医師にとって診断や治療を進めるうえで大いに役立ちます。また、飼い主にとってはセカンドオピニオンを受ける際や日頃の健康管理に役立ちます。
マイクロチップの技術も進化しています。そのデータ管理や運用法、ならびに管理に対する信頼性を確保することにより、今後は身元管理だけでなく、マイクロチップに含まれる情報が動物や飼い主にとってより有益なものとなれば、マイクロチップがさらに普及するであろうと期待しています。