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■角膜構造を再現した培養モデルを用いた眼刺激性試験法がOECDテストガイドラインに収載

2019-07-18 11:32 | 前の記事 | 次の記事

Vitrigel-EIT法の測定装置

 農研機構は、2019年7月5日、国立医薬品食品衛生研究所、関東化学株式会社と共同開発した動物を使用せずに化学物質の眼に対する刺激性を判定する試験法「Vitrigel-Eye Irritancy Test(Vitrigel-EIT)法」が、国際的な公定法である経済協力開発機構(OECD)の定めた統一的な試験法(OECDテストガイドライン)に収載されたと発表した。

 生体内の細胞の周囲にあるコラーゲン線維は、細胞の足場として組織を構成する骨組みの役割を果たしている。農研機構では、多細胞から構成される組織を再生する際に生体内の組織で細胞を保持している足場に注目し、この足場に匹敵する高密度コラーゲン線維網の新素材「コラーゲンビトリゲル」を利用した製品等の開発を進めている。2013年に、この素材を利用して構築したヒト角膜上皮の培養モデルを用いて、眼に対する化学物質の高感度な安全性試験法(Vitrigel-EIT法)を開発した。実験動物を用いずに、迅速かつ高感度で再現性の高い試験結果が得られるのが特長。

 開発したVitrigel-EIT法について、国内3施設(一般財団法人食品薬品安全センター秦野研究所、株式会社ボゾリサーチセンター、株式会社ダイセル)でバリデーション研究(技術移転の難易度、施設内再現性、施設間再現性、および関連性を検証する研究)を実施し、その妥当性について検証。その後、専門家による第三者機関の審査を経て、2019年6月にこの試験法がOECDテストガイドラインに収載された。今後、実験動物を用いずに簡便かつ迅速に安全性を判断できる試験法として、国内外で安全性の高い化粧品等の開発に活用されると期待される。

 OECDテストガイドラインとは、化学物質やその混合物の物理化学的性質、生態系への影響、生物分解および生物濃縮、ならびにヒト健康影響などに関する知見を得るため、OECDにより国際的に合意された試験方法。日本の化学物質審査規制法や欧州の化学物質の登録、評価、認可および制限(REACH)など各国の化学物質を管理する法令は、原則としてOECDテストガイドラインの試験法に基づいて規定されている。

https://doi.org/10.1787/9f20068a-en