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JBVP 日本臨床獣医学フォーラム年次大会2026が、9月26日~27日の2日間にわたり、ホテルニューオータニ東京で「心震わす、出会いと学びを」をメインテーマに行われ、数多くのプログラムの発表、討議がなされた。
27日にはペットの健康診断を推進する獣医師団体の一般社団法人Team HOPEが獣医師、愛玩動物看護師、アニマル・ケア・スタッフを対象に海外事例を踏まえ、健康診断をいかに普及させていくかを論じた。会場には約140名がつめかけ盛況であった。
まず、Team HOPE副代表理事の浅井亮太先生(動物医療センターもりやま犬と猫の病院)がTeam HOPEの紹介を行った。
Team HOPEのミッションは、健康寿命の普及、ペットの健康寿命の延伸、そしてペットとの幸せな暮らしを通じた豊かな社会作りである。賛同動物病院は全国で約3,000件となり、多くの動物病院が同じ想いを持って集まっている。
動物病院とは動物が健康なときから繋がっているべきだとの思いを持っているが、Team HOPEの活動の中心である健康診断がそのきっかけとなり、そして広がっていってほしい。
規定の健康診断は、どの動物病院でも可能な問診、視診、触診、聴診、血液検査、尿検査、レントゲンの7項目で、便検査は、飼い始めの推奨検査としている。
健康診断は継続することが大切である。健康診断の結果の伝える際には、特に問題なくても、「今日の結果は次を比べるための大切な記録になります」と言い添えることで、健康診断の継続につながる。
設立10周年の2023年に「わんにゃん健康マニフェスト」をまとめたが、10年後を見据えた目標として、日本の犬と猫の平均寿命を1年伸ばすことと質の高い健康診断の受診率を60%にすることを掲げている。
共通の検診項目を設定するだけでなく、健康診断キャンペーン、報告書作成システム、飼い主セミナーや動物病院のセミナー、教育、そして家族に向けての情報発信などを行っている。
健康診断の価値をどう伝えるかを少しでも動物病院内で話し合い、そして、Team HOPEに賛同(「ご入会について」)いただき、「元気な今の記録を残しましょう」と飼い主・家族に呼び掛けていただきたいと述べた。
次いで、代表理事の池原秀壱先生が「海外のウェルネスプログラムと国内の健康診断について-伴侶動物の健康寿命延伸のために-」のテーマで講演を行った。その概要を紹介する。
オーストラリアの「ベット24」という動物病院は、救急医療や総合診療を行っている大きな施設である。
1979年に獣医師3名、スタッフ7名で始まり、24時間診療365日診療としていき、各専門領域を増やしていき、2022年には獣医師22名、スタッフ80名という体制になった。
それは、拡大した診療を支える組織を作ったということである。特に夜間救急の場合は、獣医師、看護師、受付、管理部門、紹介元の動物病院、取引先等との連携がとりわけ重要となる。
続けられる組織、仕組みということは、飼い主が「この検査はコストパフォーマンスとし十分許容できる」という認識を持ってるということである。
スタッフ教育や業務の標準化、デジタルツールの活用、家族とのコミュニケーション設計など応用できる学ぶべき点があった。
健康診断においては、どのスタッフでも結果を説明できる項目とする、続けられる記録簿とする、動物病院内を受けやすい導線とすることが実践されていた。
これは、Team HOPEの健康診断にも通じているが、大病院である「ベット24」と、一次診療を地域に密着して行っている日本の動物病院との違いはある。
日本の約13,000の動物病院のうち、6割が獣医師が1名の動物病院という現状である。X線が備わっている施設は多く、設備は整っている。そして、飼い主との距離が近く、成長期から高齢期まで伴走でき、日常の変化に気づきやすく、予防・栄養・行動相談につなげやすいという強みがある。一方、動物病院ごとに検査項目・説明が異なる、スタッフ教育が属人的になりやすい、費用への不安を解消しにくいという壁がある。
Team HOPEでは、言葉を揃えるということを念頭においている。健康診断の考え方として説明の土台を揃えるということを。
そして飼い主に健康診断の費用を納得してもらうために「この子の未来をどう守っていくか」という説明が必要である。
未病の状態をできるだけ早く見つけて、早期治療、早期ケアにつなげることで、健康診断の重要性を知ってもらえれば、普及していくだろう。
全ての病気が分かるというわけではないが、Team HOPEの健康診断の問診、視診、触診、聴診、血液検査、尿検査、レントゲンの7つの項目は、その組み合わせによって体の内部の現在を知ることができ、かつスタッフも説明しやすいものである。
転居先や転院先の動物病院でも、同基準の健康診断が受けられ、同じ質の説明を受けることができる、かつ今まで受けてきた健康診断の情報が動物病院間で共有できているという体制がTeam HOPEでは可能である。それは飼い主の安心につながる。現実には、Team HOPE内でも7項目の健康診断ができていない、すなわち飼い主が望まない場合は多い。
ではどうしていくのか。
まず飼い主の体験を「来院前」から設計することである。
- 来院前:ワクチン案内、SNS、院内POP、ウェブ予約
- 受付:健康診断の一言案内、採尿説明、不安の確認
- 診察・検査:7項目の意味を説明、必要性を個別化
- 報告:結果を生活に結びつける、次回目安を提示
- フォロー:リマインド、再検・紹介、健康記録の蓄積
そして、各接点で次に何をするのかがわかるようにする。
さらに受付、愛玩動物看護師、獣医師、マネージャー等のスタッフ全員が健康診断をすすめるという同じ目的を持ち、それぞれの立場で動くことである。
そして飼い主への説明は「気づく」「わかる」「続ける」の3ステップでかみ砕くことが必要である。何を守るための検査なのか、そのペットの生活に結びつける説明が必要となる。
また講演では「費用が心配」「時間がない」「スタッフが説明できない」「尿検査・レントゲンが進まない」「継続しない」という壁に対しての、Team HOPE型の答えも述べられた。