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農研機構生物系特定産業技術研究支援センター(生研支援センター)は、2026年6月3日、「スタートアップ総合支援プログラム(SBIR支援)」令和8年度の採択課題が決定したと発表した(参照:生研支援センター「プレスリリース」)。
このプログラムでは、農林水産・食品分野における政策的・社会的な課題の解決や新たなビジネス創出に向け、研究開発型スタートアップ等による研究開発およびその成果の事業化を支援している。
同プログラムでは、発想段階から事業化準備段階までの4つのフェーズを設定し、事業化に関する知見・経験が豊富なプログラムマネージャー(PM)の伴走支援を受けながら、フェーズごとに設定する目標の達成に向けて研究開発と事業化を進めることが可能となっている。
2026年2月6日~3月6日の公募で集まった83の研究課題が審査され、以下の25課題が新規採択された(敬称略)。
・ワイン用ブドウ自動収穫に向けたAI収穫ロボットの研究開発
- 研究代表者:北海道大学 楊 亮亮
- フェーズ:1(構想段階)
・ペン型瞬間採血装置を用いた家畜伝染病に対する受託検査サービスの事業化
- 研究代表者:宮崎大学 関口 敏
- フェーズ:1(構想段階)
独自開発のペン型瞬間採血装置と乾燥血液検査技術により、高度な家畜感染症診断を一般化する。低侵襲な定期モニタリングで疾病を早期発見し、薬剤投与の最小化と生産性向上を実現。畜産農家や獣医師へ高付加価値なアドバイザリーを提供することで、動物福祉と農家収益を両立する次世代畜産モデルを構築する。
・全国の地鶏生産基盤を支えるロードアイランドレッド系統の普遍的 AI雌雄鑑別モデルの確立と広域社会実装実証
- 研究代表者:日本ルースト株式会社 中野裕介
- フェーズ:2(実用化段階)
全国の主要地鶏23種の交配基盤であるロードアイランドレッド(RIR)系統に着目し、深刻な鑑別師不足を解消する普遍的AI雌雄鑑別モデルを確立する。熊本県・愛媛県の2,000羽規模の学習データに基づく統合モデルを開発し、令和8年度には埼玉県・宮城県の地鶏生産に用いるRIR系統で汎用性を実証。広域社会実装による地鶏の安定供給体制を構築する。
・ブロッコリーの病害虫発生を予測し、最適な農薬を提案する防除DXアプリの開発
- 研究代表者:株式会社ミライ菜園 畠山友史
- フェーズ:2(実用化段階)
・産地魚類市場における水産物取引業務を省力化するデジタル化システムの開発
- 研究代表者:株式会社 ZIFISH 江幡恵吾
- フェーズ:事業化準備
・農産物鮮度保持と食品ロス削減の社会実装を可能にする気孔制御技術の開発
- 研究代表者:名古屋大学 佐藤綾人
- フェーズ:0(発想段階)
・粉体/粘体原材料の計量/ハンドリングのためのロボットシステム開発と事業化検討
- 研究代表者:株式会社Food Horizon 小杉和寛
- フェーズ:2(実用化段階)
・世界的なタンパク質クライシスと乳児用ミルク需要増加に対応する、麹菌による乳タンパク質生産供給システムの構築
- 研究代表者:東京大学 丸山潤一
- フェーズ:0(発想段階)
・ゲノム編集とクロマチン制御の融合による純国産・超高速 F1育種プラットフォームの開発
- 研究代表者:グランドグリーン株式会社 江尻真斗
- フェーズ:0(発想段階)
・鳥インフルエンザ抵抗性ニワトリ作製のための基盤確立事業
- 研究代表者:株式会社セツロテック 竹澤慎一郎
- フェーズ:0(発想段階)
高病原性鳥インフルエンザの被害を低減するため、ウイルス感染や増殖に必須な宿主因子遺伝子をスクリーニングにより同定し、感染成立を阻害する耐性ニワトリの開発を目指す。耐性ニワトリ樹立は「耐性遺伝子の選別」と「ゲノム編集ニワトリ作製と感染耐性評価」の二段階であり、フェーズ0では耐性遺伝子の同定を実施する。
・木材から得られるリグニンを利用した多彩でセキュアな顔料の開発
- 研究代表者:名古屋大学 竹岡敬和
- フェーズ:2(実用化段階)
・スギ材の機能性抽出成分=フェルギノールの段階的商品化
- 研究代表者:岩手大学 小藤田久義
- フェーズ:2(実用化段階)
・食品廃棄物を利用した非ベンゼン性有機蛍光物質の生産基盤の確立とその応用
- 研究代表者:日本大学 松藤 寛
- フェーズ:2(実用化段階)
・養殖魚の高成長性・高温耐性を実現する次世代プロバイオティクスの社会実装
- 研究代表者:ホロバイオ株式会社 梅田眞郷
- フェーズ:事業化準備
・各種バイオマス炭化温度別標準バイオ炭作成を通じた品質基準データベース化と品質証明
- 研究代表者:立命館立命館大学 依田祐一
- フェーズ:0(発想段階)
・脂質由来ポリマーによる生分解性被覆肥料の研究開発
- 研究代表者:愛媛大学 安部真人
- フェーズ:0(発想段階)
・水位センサー及び栽培管理記録を用いた水稲栽培ビッグデータ解析による「最適中干・収穫タイミング」算出モデルの構築
- 研究代表者:株式会社フェイガー 後藤明生
- フェーズ:0(発想段階)
・プラズマ生成活性種による養殖魚成長促進技術の創出
- 研究代表者:愛媛大学 池田善久
- フェーズ:0(発想段階)
・北海道型輪作体系を維持する「てん菜糖蜜」由来高機能バイオ材料の量産化技術開発
- 研究代表者:北海道大学 田島健次
- フェーズ:1(構想段階)
・未利用食品資源のアップサイクル飼料製造技術確立と性能検証
- 研究代表者:信州大学 上野 豊
- フェーズ:1(構想段階)
地域食品製造業者から排出される製造残余物や生産農家の非販売農産物を未利用食品資源として定義し、種々の付加価値を持つ「アップサイクル飼料」として事業化可能なコストで製造するための技術開発を行うとともに、製造飼料が有する価値について経済効果(生産性)および環境負荷軽減効果( GHG低減効果)を評価する。
・データ駆動型環境制御によるアメリカミズアブ自動産卵ユニット( SOU)の開発と国産代替タンパク供給インフラの構築
- 研究代表者:株式会社Golden Harvest 鍬 裕介
- フェーズ:1(構想段階)
国産代替飼料の社会実装に向け、従来の手作業を凌駕する完全自動化産卵ユニット(SOU)を開発する。交尾・産卵の最適化で産卵効率7倍、人件費92%削減を達成。圧倒的低コストな種苗供給インフラにより昆虫由来タンパク質の大規模生産を可能にし、世界的にも例のない新産業の基盤を確立する。
・LiDAR体重測定と搾乳量予測による酪農DX基盤の構築
- 研究代表者:広島大学 杉野利久
- フェーズ:1(構想段階)
LiDARによる非接触体重・体尺測定技術。さらに体重・行動・環境データを統合し、搾乳量を予測するモデルを構築する。これらを基盤にスマート酪農の実現可能性を検証する。
・細胞性粘菌由来のネコブセンチュウ忌避化合物に基づく、次世代型センチュウ防除剤の開発:土壌健全化と持続可能な食糧生産を目指して
- 研究代表者:上智大学 齊藤玉緒
- フェーズ:1(構想段階)
・畜産廃棄物の資源化を実現する排水処理不要型30倍濃縮液肥システム
- 研究代表者:九州大学 矢部光保
- フェーズ:2(実用化段階)
畜産排水は大量発生するが、小区画等により散布可能な農地が限られ、さらに臭気が障壁となって利用が進んでいない。また液肥濃縮では電気透析で副生する脱塩液の処理負担が普及の制約となる。本研究では循環曝気による臭気低減とRO+ED統合により、脱塩液循環で排水処理不要な資源循環型高濃縮液肥システムを確立する。
・エピゲノム制御技術を用いた環境ストレス耐性作物種子の実証研究
- 研究代表者:株式会社SACMOTs SURIYASAK CHETPHILIN
- フェーズ:2(実用化段階)
「SBIR制度」とは、スタートアップ等による研究開発を促進し、その成果を円滑に社会実装し、それによって我が国のイノベーション創出を促進するための制度。現在、環境省の令和8年度環境保全研究費補助金(イノベーション創出のための環境スタートアップ研究開発支援事業)の公募(間接補助事業)が行われている(6月15日期限)。