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■新刊紹介『クマとともに ホッキョクグマ・ヒグマ・ツキノワグマの未来』

2026-03-12 14:33 掲載 | 前の記事 | 次の記事

『クマとともに ホッキョクグマ・ヒグマ・ツキノワグマの未来』

気候変動の影響を大きく受けるホッキョクグマ、人とのかかわりで大問題になっているヒグマとツキノワグマのことが本書では取り上げられている。

序章において、坪田先生は、昨今の人の居住域でのクマの出没について、「人間社会の変化を映し出す鏡のような存在ともいえる」と言いきる。それぞれの地域の生態ピラミッドの頂点にたつクマたちの絶滅を防ぎ、いかに共存していくかがつきつけられている現状において、必要なものはまず正確な情報である。それがこの1冊につまっている。

目次をみていただければ、内容の想像はつくかもしれないが、記載内容はその想像を超えており、研究の進展は、今までの知識のはるか先であり、驚くことも多い。2025年の事態も追記されており、人の生活圏に出てくるクマの素性の推測、その対応などにもふれている。クマ対策には専門家の派遣や担当者が必要と盛んに言われるが、そのことが実感できる。

正しい情報、クマ問題の捉え方を知りたい方、とくに自治体関係者は手に取るべきで、今、社会が求めている1冊ともいえる。

§目次

  • 序章 クマという動物(坪田敏男)
  • 第Ⅰ部 ホッキョクグマ(坪田敏男)
  • 第1章 ホッキョクグマという動物
    1. ホッキョクグマの進化
    2. ホッキョクグマの生態
  • 第2章 人間とホッキョクグマの関係
    1. 人間とホッキョクグマの関係の歴史
    2. ホッキョクグマによる人身事故
    3. 人間活動によるホッキョクグマの生息状況変化
    4. ホッキョクグ保護の現状
  • 第3章 地球温暖化とホッキョクグマ
    1. 温暖化による海水の消失
    2. 温暖化によるホッキョクグマ生息状況の変化
    3. 温暖化による海氷の変化
    4. 温暖化によるホッキョクグマ生態の変化
    5. ホッキョクグマとヒグマの雑種
    6. 温暖化がもたらす人間との競合
    7. 絶滅の危機
    8. ホキョクグマ保全のためにできること
  • 第Ⅱ部 ヒグマ(佐藤喜和)
  • 第4章 ヒグマという動物
    1. 世界のヒグマの分布と生息状況
    2. 世界のヒグマの危機と軋轢
    3. ヒグマの生態
  • 第5章 北海道の人間とヒグマの関係
    1. アイヌ文化期の人間とヒグマの関係
    2. 明治期以降の人間とヒグマの関係-人間活動の拡大とヒグマの分布縮小
    3. 平成期以降の人間とヒグマの関係-人間活動の縮小とヒグマの分布拡大・軋轢の増加
    4. 現在(令和期以降)の人間とヒグマの関係
  • 第6章 これからの人間社会とヒグマ
    1. 広域的管理を実現するための地域個体群(ユニット)単位の管理
    2. 問題個体数の総個体数に応じた順応的管理
    3. ゾーニング管理
    4. 北海道ヒグマ管理計画(第二期)の期中改訂(2024年)
    5. 地球温暖化とヒグマ-縮む冬と伸びる食物不足の夏
    6. 飼料自給率向上とヒグマ-広がる無人レストランと箱罠
    7. 生物多様性保全とヒグマ-アーバン・ベア
    8. イヌとヒグマ-飼養形態と市街地侵入
    9. リスクマネジメントとしてのヒグマ管理
  • 第Ⅲ部 ツキノワグマ(山﨑晃司)
  • 第7章 ツキノワグマという動物
    1. ツキノワグマの分布域と生息状況
    2. アジアのツキノワグマを脅かすもの
    3. 日本のツキノワグマの分布の変遷
    4. ツキノワグマの生態と生理
  • 第8章 日本の森の変化
    1. 中世から強度に利用されてきた日本の森
    2. 分布域の拡大と生息数の増加
    3. ツキノワグマと人間の軋轢
  • 第9章 どうなるツキノワグマ
    1. 大量出没の常態化と集落周辺への定着
    2. 保護と管理の課題
    3. クマ類の指定管理鳥獣制度は救世主になるか
    4. 認定鳥獣捕獲等事業者や狩猟者への今後の期待
    5. 人手不足を助けるもの-ICTの活用
    6. ツキノワグマ管理でこれから考えること
  • 終章 クマの未来(山﨑晃司)
  • あとがき(坪田敏男)