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株式会社日立ソリューションズ・クリエイト、農研機構、九州工業大学は、2026年1月22日、画像認識AIを活用した鶏卵の卵内雌雄判別技術(ふ化前に雌雄を判別する技術)を共同開発したと発表した(参照:株式会社日立ソリューションズ・クリエイト「ニュースリリース」)。
世界で年間66億羽にもおよぶ雄のひよこが淘汰されており、アニマルウェルフェアの課題の一つとなっている。ふ卵13日目に痛覚が生じるとされ、痛覚が生じる前のふ卵8~12日目に判別を行う技術がEUを中心に実用化されている。ドイツでは、ふ卵13日目以降の卵の廃棄と雄のひよこの淘汰を法律で禁じている。
株式会社日立ソリューションズ・クリエイトと農研機構は、2019年から鶏卵のふ卵早期に雌雄判別する共同実験・開発を開始し、2023年には九州工業大学も加わった。株式会社日立ソリューションズ・クリエイトの画像認識AI技術、農研機構の鶏卵の生物学的知見、九州工業大学の光学技術がそれぞれの強み。
今回の技術開発で、ふ卵3日目に卵を傷つけずに、最高97%の精度で卵内雌雄判別が可能となった。今後は、さらなる判別精度向上と早期の実用化をめざす。
ふ卵早期(2~6日目)から胚およびその周辺に雌雄で異なる特徴が出るという農研機構の研究・知見を活用し、株式会社日立ソリューションズ・クリエイトは卵殻の一部を切除、卵の中を可視化して撮影した胚とその周辺の画像から雌雄判別するAIモデルを開発。農研機構との共同実験で、鶏卵の撮影画像を学習したAIモデルは、人間の目では区別できない雌雄で異なる特徴を捉えられることを発見した。そして、ふ卵3日目に高い精度で雌雄判別できることを明らかにした。
さらに卵を傷つけない雌雄判別を可能にするため、胚と周辺を卵殻越しでも「AIで見える」状態にすべく実験を重ね、適切な鶏卵の設置方法とカメラと光源の配置・撮影方法を見いだした(日本、アメリカで関連特許取得済)。
九州工業大学の光学的な空間周波数調節で、デジタル写真画像の視界不良状態を低減、見たい部分を強調する画像処理技術を応用し、鶏卵の撮影画像から卵殻や卵表面を覆っている膜(クチクラ)などの雌雄判別に不要な情報の削減と必要な部分の情報を強調する画像処理を行った。加えて、株式会社立ソリューションズ・クリエイトのAI技術により、この処理後の画像をもとにさまざまな条件下で高精度に判別できるよう多様な学習データを作成し、それらの画像を学習してAIモデルを生成した。これにより、精度の高い雌雄判別が可能であることを確認した(日本で関連特許出願中)。
