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■遺伝病検査の普及により、ペットの遺伝病リスク低減が前進 アニコム

2026-01-28 16:20 掲載 | 前の記事 | 次の記事

各疾患の検査結果の推移

アニコム ホールディングス株式会社は、2026年1月27日、ペットの遺伝病撲滅・管理の取り組みについて現時点での成果と現在の状況を発表した(参照:アニコム ホールディングス株式会社「ニュース」)。主にブリーダーや取引先のペットショップに向けて、遺伝子検査の提供と、その結果にもとづく適切なブリーディングや販売の提案を行っている。

アニコムでは2017年より行ってきた取り組みの成果として、2021年4月に発表したリリース「防ぐべき遺伝病の撲滅・管理宣言」にて、防ぐべき遺伝病の撲滅を宣言した。

同リリース内では、「撲滅」もしくは「管理」すべき遺伝病と位置づけた疾患のうち、変性性脊髄症、GM1ガングリオシドーシス、進行性網膜萎縮症の計3疾患について、現状の検査体制を継続することにより、特定の犬種においてこれらの遺伝病が発生しない「撲滅」可能な状況もしくは、ペット業界として適切に「管理」可能な状況に至ったと判断した。

2021年の宣言以降も、引き続き遺伝病検査に取り組んでおり、以下、主な疾患の現在の取り組み状況を報告した。

§犬 変性性脊髄症(DM)

DMは、10歳前後の中・高齢期から、後肢麻痺などの神経症状が出始め、次第に全身に広まり、最終的には呼吸筋の麻痺などにより死に至る病気。ウェルシュ・コーギー・ペンブロークやジャーマン・シェパード・ドッグに多いことで知られている。検査事業開始以来、アフェクテッド*の割合は全体的に減少傾向にある。また、DMにおける近親交配レベル(遺伝的な近さ)を経時的に調べたところ、遺伝的多様性への影響はみられなかったことがわかり、2024年にアニコム社員著の研究論文として英国学術誌にて発表している(参照:アニコム ホールディングス株式会社「ニュース」)。

*用語「アフェクテッド」:遺伝子検査の結果として示されるものの1つで、ほかに「クリア」「キャリア」が存在する。検査対象の遺伝病が発症する原因遺伝子を持っていない場合を「クリア」、原因遺伝子を片方の親から受け継いだ場合を「キャリア」、原因遺伝子を両親から受け継いだ場合を「アフェクテッド」という。多くの遺伝病では、アフェクテッドの個体で発症のリスクがある。

§犬 進行性網膜萎縮症(PRA)

PRAは、網膜が徐々に変性することで視力が低下していく進行性の病気。いずれも主に初期の夜盲症(薄暗いところで目が見えにくい)から始まり、やがて進行性に視力が低下し最終的に失明に至る。犬では多くの品種でこの疾患のリスクが知られている。中でもリスクの知られているミニチュア・ダックスフンドにおけるPRAに関して、アニコムグループの研究により、遺伝子検査の普及後、疾患リスクの高い個体の割合が明確に減少していることが確認されたこと、および近交係数の変化はみられなかったことを明らかにした(参照:アニコム パフェ株式会社「お知らせ」)。

§猫 多発性嚢胞腎(PKD)

PKDは、腎臓に多数の嚢胞(液体の入った袋状の構造)が形成され、時間とともに大型化することで腎臓が圧迫され、腎機能が低下し腎不全を起こす病気。明らかな症状が現れる時期は個体によりばらつきが大きく、多くの場合は中高齢になってから顕著になる。PKDはキャリアでも発症リスクのある「優性遺伝(顕性遺伝)」の遺伝形式をとる。また、アフェクテッドの場合は胎子の時点で死亡してしまうため、生体の遺伝病検査にてアフェクテッドが検出されることはないとされている。アニコムの検査においても、アフェクテッドは検出されず、検査を開始した2017年より後に生まれた猫ではキャリアの割合に明らかな減少がみられた。

PKDの経時的な遺伝子変異の頻度を調べたところ、一部の品種において2019年以前と2022年以降で有意な減少がみられ、また系統的なゲノム解析の結果、遺伝的構造や近交度レベルへの影響はみられていないということもわかってきている(参照:「Widespread genetic testing control inherited polycystic kidney disease in cats」)。

§猫 ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)

PK欠損症は、ピルビン酸キナーゼと呼ばれる酵素が生まれつき欠損することで、赤血球がうまくはたらかなくなり、通常に比べて赤血球の寿命が極端に短くなる病気。主な症状は持続的な貧血で、運動耐性の低下や頻脈、粘膜が蒼白になるなどの症状を示す。また臓器(特に肝臓)の機能障害が現れる。多くは4歳齢頃までに死に至る。こちらの疾患も経時的なリスクの減少がみられた。

§猫 肥大型心筋症(HCM)

HCMは、心臓の壁が内側に向かって厚くなり、心臓の容積が狭くなることで、心機能が徐々に低下する病気。運動耐性の低下や、肺などに水が溜まることによる呼吸困難がみられ、特に猫では嘔吐や食欲不振が多くみられる。また血栓症が生じるリスクが高く、後肢麻痺や腎不全など、血栓による塞栓の起こる部位により多彩な症状が現れる。

こちらの疾患についても、検査開始以降、リスクを保有する個体の割合が大きく減少した。

また、HCMに関するアニコム社員著の研究論文「Presence of known feline ALMS1 and MYBPC3 variants in a diverse cohort of cats with hypertrophic cardiomyopathy in Japan」が2023年に米学術誌に掲載された。この研究では、特定のネコの品種にのみ存在すると考えられていたHCMの原因遺伝子変異が、これまで見つかっていなかった品種においても存在することを明らかにした。このことから、広範囲な品種においてHCMのリスクを調べていく重要性が示唆される(参照:アニコム損害保険株式会社「ニュースリリース」)。

また、2026年1月27日には以下のプレスリリースも発表されている。