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■NOSAIの獣医療 時代の変化に対応を

2025-02-25 18:34 | 前の記事 | 次の記事

令和6年度家畜診療等技術全国研究集会(2025年2月20日~21日、日経ホール)では、NOSAI宮崎 生産獣医療センター センター長の上松瑞穂先生が「新時代の産業動物獣医療 畜産業の持続可能性を支える生産獣医療」のテーマで講演を行った。

上松先生の講演は、畜産の現状と、その変化に伴い必須となった群管理にどのように取り組むべきかの内容であった。まず、テーマである「畜産業の持続可能性を支えるために行うべき生産獣医療とは」をChat GPTを用いて項目立てした。その項目である(1)疾病予防と早期発見、(2)抗生物質と薬剤の適正利用、(3)動物福祉の確保、(4)生産性の向上と資源の効率的利用、(5)現場への配慮と資源循環、(6)持続可能な飼育方法の導入、(7)データテクノロジーの活用、(8)持続可能な繁殖管理、教育と開発、について順を追って解説した。

日和見感染対策は、獣医師が細菌と戦うのではなく、牛を細菌と戦える状態にしておくことだと述べた。また、子牛へ第一胃液を経口投与し原虫を移植すること、センサー(カプセルセンス)により牛の状態を生産者がスマートフォンで確認できるようにしていること、夏場の飲水場に氷を投与することで飲水量を改善できること、などの事例を紹介した。

歯科が、検診主体・予防により軽度で発見し治療が単回や短期になっていること、予約制というように業態を変化したことは産業動物獣医療の参考になるのではないか、また、救急対応に加えて、成人病検診、検査部門、生殖医療も備えている総合病院が手本になるのではないかと述べた。そうすれば働き方が多様になり、収入面もベターになるだろうと。意識改革は必要であろうが、NOSAIの家畜診療に従事する獣医師は平均年齢39.5歳、1,680名の世界にも類をみない獣医師集団であり、「将来どうなりたいか」をいっしょに考え、未来をつくっていこうと述べた。

会場からは、「獣医師になった原点を思い出す講演であった」「心に響いた講演であった」との声があった。

質疑応答において、重要である生産者とのコミュニケーションについて、生産者自身がどうなりたいか、その思いを打ち明けるくらいまで、じっくりと話を聞くことが大切だと述べた。NOSAI宮崎ではオンラインで卒後教育を行っていると述べた。

なお、公益社団法人全国農業共済協会でも、卒後教育である「生産獣医療提供体制構築支援事業に係る生産獣医療研修」を2024年度から開始している。