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株式会社ペトリコウェルは、2025年1月23日、ミックス犬に関する意識調査の結果と獣医師の今本成樹先生のコメントを発表した。調査は、『ミックス犬を飼っている』『ミックス犬以外の犬を飼っている』『犬を飼いたいと思っている』方を対象にしたもの。同社は、優良ブリーダーとのマッチングサイト「Breeder Families」を運営している。
§調査概要
- 調査期間:2024年11月5日(火)~2024年11月7日(木)
- 調査方法:「PRIZMA」によるインターネット調査
- 調査人数:1,041人
- 調査対象:調査回答時に『ミックス犬を飼っている(335人)』、『ミックス犬以外の犬を飼っている(358人)』、『犬を飼いたいと思っている(348人)』と回答したモニター
- 調査元:株式会社ペトリコウェル
- モニター提供元:PRIZMAリサーチ
§調査結果の主なポイント
- 約6割がミックス犬飼いたいと思っている
- 約6割が「健康」や「性格」に誤解を持っている
- 8割以上が健康リスクを認識していない
- 約4割がリスクを知ったうえでミックス犬を飼いたい
『ミックス犬以外の犬を飼っている』方と『犬を飼いたいと思っている』方に、「ミックス犬を飼いたいと思いますか?」と質問。
「とてもそう思う(8.4%)」「ややそう思う(48.0%)」「あまりそう思わない(35.8%)」「まったくそう思わない(7.8%)」という回答結果。「とてもそう思う」「ややそう思う」と回答した方を合わせると、約6割の方がミックス犬を飼いたいと思っていることがわかった。
なぜミックス犬はこのように人気があるのか。それを知るために、まずは「犬を飼う際に重視することは何ですか?(複数選択可)」と質問。
「健康(66.6%)」と回答した方が最も多く、次いで「かわいさ(58.9%)」「サイズ(57.5%)」「性格(56.1%)」となった。健康、かわいさ、サイズ、性格が上位にあがり、このような要素が重視されていることが明らかになった。
では、ミックス犬にはどのようなイメージをもっているのか。『ミックス犬を飼っている』方と『ミックス犬をとても・やや飼いたい』方に「ミックス犬に対してどのようなイメージをもっていますか?(複数選択可)」と質問。
「健康状態がよい+性格がよい(66.6%)」「かわいい(40.8%)」「オリジナリティがある(35.6%)」と続いた。
犬を飼う際に重視することとして、健康、かわいさ、性格が上位であったが、ミックス犬に対するイメージでも、これらの要素が上位にあがっていることが明らかになった。
「健康状態のよさ」と「性格のよさ」についてそれぞれの項目は以下の結果。
- 健康状態のよさ
- 身体が丈夫54.8%
- 寿命が長い26.1%
- アレルギーが出ない19.1%
- 性格のよさ
- 両親の犬種の性格のよいところを受け継ぐ52.6%
- 常にフレンドリーで社交的34.1%
- 純血種よりも賢いのでしつけが簡単13.3%
「健康で長寿」「両親の犬種のよい性格を受け継ぐ」「フレンドリーで社交的」といった楽観的なイメージは誤ったもの。実際には、異なる犬種を交配させることには多くのリスクが伴い、成長過程で健康上の問題が発生したり、性格面で予期しない課題が生じることがある。それにもかかわらず、ミックス犬に対して誤った楽観的なイメージが広まってしまっているようである。その傾向は、ミックス犬を飼いたいと思っている方の理由からもうかがえる。
ミックス犬を飼いたいと思う理由として以下の回答例があり(自由回答)、ミックス犬に「遺伝子的に丈夫」「健康的」といった楽観的なイメージを持つ人が多いことがわかった。
- 遺伝子的に生命力が強い(30代/男性/福岡県)
- 丈夫で病気にもかかりにくいと聞いたことがあり賢いから(40代/男性/新潟県)
- 遺伝子的に健康そうな気がするから(40代/男性/東京都)
- 丈夫な印象があり、父犬、母犬の個性を受け継いでいる(40代/女性/神奈川県)
- 健康的だから(50代/男性/大阪府)
獣医師の今本成樹先生のミックス犬の健康や性格に関する課題についてのコメント。
ミックス犬は、「異なる犬種を掛け合わせることで弱点を補い合い、健康になる」「よい性格を引き継ぐ」と思っている人もいますが、命はそれほど単純ではありません。
また、「日本の雑種犬は強い」というイメージをお持ちの方もいますが、ミックス犬と雑種犬は異なります。雑種犬は自然淘汰の結果、健康や性格が環境に適応してきた犬ですが、ミックス犬は人為的に純血種を掛け合わせたもので、歴史や背景が異なります。
1)健康上の問題が生じる可能性
純犬種は犬種ごとに適切な骨格や身体の特性が、長年の繁殖で確立されています。しかし、ミックス犬ではこれらのバランスが崩れる場合があります。また、獣医師に対してアンケートをとった際には、いい印象をもたない人が95%いるという結果も出ています。
- 頭部と首のアンバランス
- 例えばチワワは特徴的なアップルドーム型の頭部を持ち、ヨークシャーテリアは首が細い。これらを掛け合わせた場合、首に負担がかかり、健康上の問題が発生する可能性があります。
- 骨格と体格のミスマッチ
- 例えばイタリアングレーハウンド(骨折しやすい足)×ゴールデンレトリバー(大きな体格)をかけ合わせ場合、足に過剰な負荷がかかり、骨折や慢性の痛みを引き起こす。
2)両親犬の弱点が重なる可能性
ミックス犬では、両親から受け継ぐ遺伝子の組み合わせが予測できず、場合によってはそれぞれの犬種の弱点が重なってしまうことがあります。これにより、健康上のリスクが高まる可能性があるのです。
例えば遺伝的に心臓疾患のリスクが高いキャバリアと、アレルギー体質で知られる柴犬を掛け合わせた場合、心臓の弱さとアレルギー体質という両方の弱点を受け継ぐ子犬が生まれる可能性があります。
3)性格の組み合わせによる思わぬ課題
純血種の場合、それぞれの犬種に特徴的な性格がある程度定まっており、飼い主は自分のライフスタイルやニーズに合った犬種を選ぶことができます。しかし、ミックス犬ではどちらの親犬の性格が強く現れるかがわからないため、思わぬ性格上の問題が発生する可能性があります。
例えばチワワは警戒心が強く噛み癖が出やすい犬種で、プードルはとても賢い犬種として知られています。この2つを掛け合わせた場合、賢さが裏目に出て噛み癖が改善しにくくなるケースが考えられます。飼い主が一生懸命しつけをしても、なかなか成果が出ない場合、両者の性格が複雑に影響していることもあるのです。
では、ミックス犬が抱えているといわれる課題についてどの程度把握しているのか。『ミックス犬を飼っている』方と『ミックス犬をとても・やや飼いたい』方に、「ミックス犬が抱えているといわれる課題について、知らないものを選択してください(複数選択可)」と質問したところ、多くの方がこれらの課題について認識していないことが明らかになった。
ミックス犬の場合、「正確な遺伝子検査をできないことが多い」「奇形の発生のリスクがある」「なりやすい病気や性格・成長の測が難しい」などの課題を抱える可能性があるが、これらを正しく認識している方はごく一部であることが示された。
ミックス犬が抱える課題について、今本成樹先生の更なるコメント。
1)予測・診断が難しいミックス犬の現実
ミックス犬は、長い歴史の中でスタンダードが定着している純犬種と異なり、成長や健康の予測や診断が難しいという現実があります。
- 基準がないため異常が判断できない
- 純血種の場合、犬種の標準(スタンダード)に基づいて成長や健康状態の正常・異常を判断できます。しかし、ミックス犬にはその基準が存在しないため、獣医師でも骨格や成長に異常があるかどうかを判断するのが難しい場合があります。
- 例えば2キロのチワワと6キロのダックスフンドのミックス犬→どちらの犬種の特徴が出るかわからず、大きさや骨格の正常異常の診断が難しい。
- 大型犬×小型犬のリスク
- 体格や成長速度が大きく異なる犬種同士のミックス犬では、診断がさらに複雑になります。成長期に適切なケアができない場合、骨格や筋肉の異常が後々深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。
- 獣医師は通常、犬種の特性に基づいて発症しやすい病気や成長過程の異常を判断していますが、ミックス犬ではその基準がないため診断が難しく、健康を維持するハードルが高まります。
これらの課題を理解したうえで、ミックス犬をお迎えする際には慎重に検討することが大切です。
ミックス犬自身が抱える課題以外の、「繁殖回数・年齢制限の抜け道として利用されている」、「繁殖させたブリーダーも健康や成長について責任がもてない」といった社会問題や、「体格差のある掛け合わせの場合母体に負担がかかる」といった問題を認識している方も非常に少ないことが明らかになった。
実際にミックス犬を飼っていて想像と違ったことや困ったことはあるのか。『ミックス犬を飼っている』方に「ミックス犬を飼っていて想像と違ったことや困ったことはある?」と質問。
- 肌が弱い(20代/女性/東京都)
- 持病やアレルギーが多く、治療費がかさむこと(30代/男性/埼玉県)
- おとなしいと思ったが、やや違った(60代/女性/東京都)
- 当初の予測より大きくなった(60代/女性/北海道)
さらに『ミックス犬以外の犬を飼っている方』『犬を飼いたいと思っている方』という方に、「リスクがあると知った上で、ミックス犬を飼いたいと思いますか?」と質問。
約4割の方が『とてもそう思う(4.5%)』『ややそう思う(35.8%)』と回答し、リスクがあると知った上でも、ミックス犬を飼いたいと思う方が4割を超える実態が明らかになった。