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文部科学省は、2024年7月30日、第1回目の「国立大学法人等の機能強化に向けた検討会」を開催した。会議はオンラインで公開された。検討会は、同省の高等教育局国立大学法人支援課と研究振興局大学研究基盤整備課が担当する。
国立大学が法人化されて20年。そのあり方についての検討会は、2026年3月まで行われる。
検討会の委員は以下の通り(敬称略、五十音順)。座長は相澤益男先生が務めた。
- 相澤益男(公益社団法人科学技術国際交流センター会長)
- 上山隆大(総合科学技術・イノベーション会議常勤議員)
- 樫谷隆夫(公認会計士・税理士)
- 川合眞紀(大学共同利用機関法人自然科学研究機構長)
- 永井良三(自治医科大学長)
- 服部泰直(独立行政法人大学改革支援・学位授与機構長)
- 平子裕志(ANAホールディングス株式会社特別顧問)
- 福原紀彦(日本私立学校振興・共済事業団理事長)
- 森田 朗(一般社団法人次世代基盤政策研究所代表理事)
- 柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授)
今回の議事内容は、国立大学法人等の現状の報告と今後の検討内容を決めていくというもの。これまでの経緯と現状をまとめた資料(資料4-1)の情報を共有し、各委員がそれぞれの意見を述べた。
文部科学省が示した、検討にあたっての必要な観点は以下の通り(資料4-2)。
- 各法人が有する教育研究等の分野や規模に加え、他にどういった点に着目して、機能強化策の検討を図っていくことが必要と考えられるか。
- 教育にかかる費用の負担の在り方について、どのような観点で議論を進めていくことが必要か。
- 人材育成、基礎研究、革新的な創薬を含めた臨床研究、高度医療、地域医療といった多岐にわたる役割を果たしている附属病院について、今後の持続可能な経営に向けてどのような観点で議論を進めていくことが必要か。また、医師の働き方改革等を進めながら、機能強化を図る上で必要な観点は何か。
- 機能強化には、必要な事柄に予算を確保し、投じることが不可欠。ついては、多様化した財源や運営費交付金の繰越などを活用した財務全体のマネジメントの工夫、また、工夫してもなお困難な事柄のほか、整理しておくことが必要なことは何か。
相澤座長は検討会の最後に以下の主旨のことを述べた。
今日の資料は全体を統計的に処理された嫌いがあり、個々の大学が進めてきた改革はみえにくいものである。こういった審議を行う場合、どうしても国が何をやるのかという話になりがちである。各国立大学が何をやりたいのかという視点が重要である。飛躍的ではあるが、少子化が進むなか、大学がいつまで存在するのかという考えにも及んでしまう。日本の根幹をなすともいえる国立大学の機能強化をどうしていくのか、その中で国の役割、大学の役割について、委員の意見を踏まえ、検討していきたい。
次回の検討会は9月2日(月)に行われる予定。
現状をまとめた「資料4-1」は、法人化してからの状況がよく分かる。個々の事例がみえにくいとの意見もあったが、よくまとめられている。その目次(一部改変)を以下に示す。
資料4-1 国立大学法人等の現状
Ⅰ.国立大学法人・大学共同利用機関法人全体の概況
- 国立大学法人等の構成
- 国立大学等の種類・規模
- 大学共同利用機関法人
- 国立大学の再編・統合
- 指定国立大学法人制度
- 国公私立大学学生数(学部、修士、博士)
- 国立大学法人のガバナンスの仕組み
- 第4期中期目標期間における国立大学法人評価制度
- 国立大学法人会計基準の主な改訂の状況
Ⅱ.国立大学法人・大学共同利用機関法人の現状分析
- 現状分析の考え方
- 財務会計関係
- (1)経営規模
- 経常収益・費用やその内訳の変化
- 全体の傾向
- グループ間に見られる特徴
- グループ間に見られる特徴
- 運営費交付金と外部資金の獲得状況
- 目的積立金
- (2)運営費交付金
- 運営費交付金予算額の推移
- 施設整備費予算額の推移
- (3)財源の多様化
- 自律的な経営環境の確保・財源の多様化
- 寄附の状況
- 土地の貸付の認可状況
- 資金運用制度の概要、余裕金の運用に係る認定状況
- 長期借入の認可状況
- 債券発行の状況
- 出資の範囲、出資認可の状況
- 新株予約権の取得・保有の現状
- (4)授業料等
- 国立大学の授業料の仕組み
- 国私立大学の授業料等の推移
- 人事給与マネジメント改革
- 人事給与マネジメント改革の流れ
- 人事給与マネジメント改革に関するガイドライン(概要)
- テニュアトラック制の活用
- 年俸制の見直し 年俸制の導入/見直し/導入状況
- クロスアポイントメント制度の活用
- 任期の有無別、年齢層別の教員数の推移
- 職位別の教員数の推移
- 教員の人事構成
- 学内組織の見直し等
- 学内組織の見直し