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■「農林水産研究イノベーション戦略2024」を策定 農林水産省

2024-06-11 17:08 | 前の記事 | 次の記事

農林水産省は、2024年6月4日、「農林水産研究イノベーション戦略2024」を発表した。この戦略は「食料・農業・農村基本計画」に基づき策定されるものであるが、農林水産分野に世界トップレベルのイノベーションを創出することを念頭に置いた「挑戦的な戦略」として、政府方針に反映させ実現していくことを目的としている。

今回の「農林水産研究イノベーション戦略2024」では、

  1. 人口減少に対応するスマート農林水産業の加速化
  2. 「みどりの食料システム戦略」の実現に向けた研究開発の加速
    • (1)持続的な食料システム構築に資する研究開発
    • (2)食料安全保障の強化と生産力の向上に資する研究開発
    • (3)先端技術に対する理解の増進
  3. 「持続可能で健康な食」の実現
  4. バイオ産業市場獲得に貢献する研究開発

を重点的としている。

また研究開発環境の整備として、「産学官共同連携拠点の整備」「スタートアップ支援の強化」「知的財産マネジメントと国際標準化の強化」「国際連携による研究開発の推進と成果の応用」「異分野を含めた人材確保」「研究インテグリティの確保の徹底」をあげている。

新戦略では、農研機構の生成AI開発の拡充やペロブスカイト太陽電池等による高効率な太陽光発電技術の確立などもうたわれている。

畜産分野における記載を以下に抜粋する。

・人口減少に対応するスマート農林水産業の加速化

牛舎清掃、給餌、搾乳の労働時間が長いことから、畜産業における更なる軽労化技術の開発・導入が課題。非接触型の個体の生体モニタリング機器、小型清掃ロボットとその動線が確保しやすい畜舎の整備、搾乳ロボットとそれに合わせた牛の飼養管理技術、温湿度に応じて畜舎内の環境を精密に制御できるスマート畜舎システム等の研究開発を推進。

・バイオ産業市場獲得に貢献する研究開発

欧米の大学等の基本特許に抵触しない日本独自のゲノム編集ツールや半数倍化法等の既存のゲノム編集を更に加速する技術の開発、農作物品種育成に向けた技術基盤の整備、植物やカイコ等の生物機能を活用した医薬品原料等の高機能バイオ素材の創出とサプライチェーンの構築の他、ゲノム編集技術と新たな豚由来細胞株を活用したアフリカ豚熱ワクチン等の革新的動物ワクチンや高病原性鳥インフルエンザ等の特定家畜伝染病の防疫に資する革新的な技術や資材の研究開発を推進。