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■小動物医療の薬剤耐性菌の取り組みを講演 村田佳輝先生

2024-03-21 18:33 | 前の記事 | 次の記事

北里大学第16回農医連携教育研究センターシンポジウム「細菌感染症を治療できなくなる日がやってくる!~薬剤耐性(AMR)菌の現状とその対策を考える~」が、2024年3月19日、北里大学相模原キャンパスで行われた。シンポジウムはオンラインでライブ配信された。

シンポジウムの発表演題と演者は以下の通り。

第一部 メカニズムと動向

  • 薬剤耐性のメカニズム
  • 林 俊治先生(北里大学医学部)
  • 薬剤耐性菌と耐性遺伝子の発生源と環境中挙動解明の試み
  •  清 和成先生(北里大学医療衛生学部)
  • 小動物における薬剤耐性菌の現状とその対策
  •  村田佳輝先生(東京農工大学農学部附属感染症未来疫学研究センター)

第二部 医療分野での対策

  • 院内感染対策の取り組み
  •  高山陽子先生(北里大学医学部)
  • 新たな挑戦(研究開発・創薬)
  •  浅見行弘先生(北里大学大村智記念研究所)

主に医学部分野の演者の中で、千葉県のむらた動物病院院長で東京農工大学農学部附属感染症未来疫学研究センター客員教授の村田佳輝先生は、小動物医療分野での抗菌薬の使用状況、AMRの現状、薬剤耐性真菌について、そして対策の取り組みを解説した。

AMRによりその耐性が問題となっているカルバペネルについて「獣医療でよく使用される」ということを耳にすることもあるが、実態はそんなことはない。小動物医療では、第一世代セファロスポリン系とペニシリン系の使用が主体で、フルオロキノロン系がそれに続く。また経口投与が難しいことから、注射での投与が主であるという特徴もある。

小動物診療で使用される抗菌薬の60%は人用であるが、動物用の抗菌薬をできるだけ使用していくということや慎重使用の啓発活動、広域・長期有効抗菌薬の使用を控えるという対策も行われている。

そして、株式会社サンリツセルコバ検査センターのデータなどを用いて具体的な薬剤耐性菌、薬剤耐性真菌のことを述べた。

動物病院の調査でブドウ球菌のなかでメチシリン耐性ブドウ球菌の率が高いという結果もあるが、慎重使用での成功例もあること、エンピリック治療など、ガイドラインも整備されていることも紹介した。

村田先生が中心となって設立された獣医臨床感染症研究会の取り組みについても述べた。

なお、飼い主と犬の間で共通の大腸菌の耐性菌もみつかることがあるが、食べ物の口移し、舐める、肛門に触れたり糞便処理の後の手洗いをしないといったことを避けるべきとの警鐘を鳴らした。