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アニコム先進医療研究所株式会社は、2024年3月1日、総合研究大学院大学および岐阜大学と共同で行った研究を通じて、ニホンオオカミが遺伝的に他のオオカミとは異なる独自のグループであることや、イヌに最も遺伝的に近縁なオオカミはニホンオオカミであることを明らかにしたと発表した(参照:ニュースリリース「イヌに最も近縁なオオカミは「ニホンオオカミ」であることが明らかに」)。
研究の成果は学術誌「Nature Communications」に掲載されている。
- Japanese wolves are most closely related to dogs and share DNA with East Eurasian dogs
- 著者
- 五條堀淳(総合研究大学院大学 講師)
- 荒川那海(総合研究大学院大学 特別研究員)
- Xiayire Xiaokaiti(総合研究大学院大学 特別研究員、現 中国社会科学院 助理研究員)
- 松本悠貴(アニコム先進医療研究所株式会社)
- 松村秀一(岐阜大学 教授)
- 本郷一美(総合研究大学院大学 准教授)
- 石黒直隆(総合研究大学院大学 客員研究員、岐阜大学 名誉教授)
- 寺井洋平(総合研究大学院大学 准教授)
- 掲載誌:Nature Communications
- DOI: 10.1038/s41467-024-46124-y
これまでの研究によって、各地のオオカミの中でもユーラシア大陸のオオカミがイヌに近縁であることがわかっていたが、ユーラシア大陸のどこのオオカミがイヌの祖先かについては謎とされていた。
今回の研究ではニホンオオカミ9個体と日本犬11個体の高深度ゲノムを決定し、主に以下の点を明らかにした。
- ニホンオオカミは、遺伝的に他のオオカミとは異なる単一起源の独自のグループである。
- ニホンオオカミは、イヌのグループに最も遺伝的に近縁なオオカミである。このことからイヌのグループは東アジア起源だと推定された。
- ユーラシア大陸の東側のイヌのゲノムには、ニホンオオカミの祖先のゲノムが含まれている。なお日本犬のゲノムにもニホンオオカミの祖先のゲノムが2~4%含まれている。
研究グループでは今後の展開として以下のコメントをしている。
本研究ではイヌのグループの祖先側、つまりオオカミからイヌの起源に迫りました。日本列島は大陸の周辺部に位置し、生物の古い系統が残っている地域です。そのため、日本列島出土の古いオオカミやイヌの骨や歯由来のDNAを調べることによって、さらにイヌの起源に迫ることができると期待されます。今後については、ニホンオオカミの進化と変遷、日本列島のイヌの起源と変遷、日本犬の成立なども明らかにしていく予定です。