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■2種類の新規ヨーネ病遺伝子検査キットを製品化

2023-12-05 14:56 | 前の記事 | 次の記事

「ヨーネ病遺伝子検査キット」a:「ヨーネ・ファインド」/b:「ヨーネ・ファインドプロ」

農研機構と株式会社ニッポンジーンは、2023年11月28日、ヨーネ病の遺伝子検査キット「ヨーネ・ファインド」と「ヨーネ・ファインドプロ」を製品化したと発表した。

スクリーニング検査に用いる「ヨーネ・ファインド」は、現行検査法より半年以上早く感染牛を発見でき、確定検査に用いる「ヨーネ・ファインドプロ」は、特異性が高く正確な診断が可能。

2つの検査を組み合わせることにより、感染牛の早期発見と診断精度の向上が見込まれ、国内のヨーネ病清浄化の推進が期待される。

ヨーネ病は、牛などの反芻動物が慢性下痢を示す細菌感染症で、「家畜伝染病予防法」で家畜伝染病に指定されている。有効なワクチンや治療法はなく、定期的な検査によって感染牛を見つけ、農場から排除することで清浄化が進められているが、全国的に発生が確認され、国内では年間1,000頭程度が患畜と診断され殺処分されている。

ヨーネ病の清浄化には感染牛の早期発見が重要だが、感染牛の多くは数年間にわたり全く症状を示さず発見が困難。無症状でも長期間、糞便中に菌を排出していることもある。現行の検査法の課題として、このような無症状排菌牛が発見されずに農場の汚染を拡大し、対策が長期化することが挙げられる。

農研機構と株式会社ニッポンジーンでは、感染牛の早期発見と診断精度の向上を目指して、リアルタイムPCRを用いた2種類の新しいヨーネ病遺伝子検査法を開発し、検査キットとして製品化した。そのうち、「ヨーネ・ファインド」は、糞便中のヨーネ菌遺伝子を検出するキットであり、感染疑いの牛をふるい分けるスクリーニング検査に用いる。同キットを用いることで、現行のスクリーニング検査法である抗体検査より半年以上早く感染牛を発見することが可能となる。「ヨーネ・ファインドプロ」は、スクリーニング検査で陽性になった牛が真の感染牛であるか診断するための確定検査に用いる。蛍光標識プローブを用いた特異性の高いリアルタイムPCR法へ改良されており、正確に感染牛を特定することができる。

「ヨーネ・ファインド」と「ヨーネ・ファインドプロ」は、動物用体外診断用医薬品として承認されており、今後、国が定める「家畜伝染病予防法施行規則」の別表第1に記載され、全国のヨーネ病検査に活用されることが期待される。両キットは11月28日に発売された。