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環境省は、2023年9月28日、「令和5年度カワウ保護及び管理に関する検討会」を東京都内の会議室で行った。対面で行われるは2019年以来のこと。
同検討会は、カワウの生息状況の確認や保護管理の取組状況の評価等を行い、その進め方を検討している(環境省「カワウの保護管理 ぽーたるサイト」)。
検討委員は以下の通りで、水産庁も参加している。事務局は特定非営利活動法人バードリサーチが務めている。
§検討委員(敬称略)
- 加藤 洋(株式会社野生動物保護管理事務所)
- 亀田佳代子(滋賀県立琵琶湖博物館)
- 須藤明子(株式会社イーグレット・オフィス)
- 坪井潤一(国立研究開発法人水産研究・教育機構水産技術研究所)
- 羽山伸一(日本獣医生命科学大学)
- 山本麻希(長岡技術科学大学)
かつては生息数を減少させたこともあったが、現在は漁業被害が大きな問題となっている。特に放流したアユの被害が主体である。環境省では「特定鳥獣保護管理計画作成のためのガイドライン及び保護管理の手引き(カワウ編)」を2013年に改訂した。また、2014年には加害個体数の半減を目標とした。関東、中部近畿、東北、中国四国ではカワウ広域協議会を設立し、自治体の枠を越えた取り組みも行われきた。水産庁は、各地の漁協に協力を求め生息数調査等を行ってきた。
個体数は季節移動もあるため春季、夏季、冬季に調査されている。内水面漁業に被害を与えるカワウの個体数は、2013年の41,000羽(内陸31,000羽、沿岸10,000羽)から、2021年には5万羽(内陸40,000羽、沿岸10,000羽)となり、半減どころか増加している。ただ地域や流域ごとに細かく見れば、目標を達成している地域もあろう。また、基準となる2013年はシカ・イノシシ対策とともに始まった年であるが、その時点で生息数ピークの2008年から大きく減少していた時期であり、設定された基準年の数字との比較では、難しい面があったかもしれない。
対策は進められており、また広がっている。モニタリングデータがあった上での適切な対策となるが、過度な調査を求めると、現場では調査疲れしてしまう面もある。今後の10年の管理目標を設定し、計画を立てていくことになるが、より効果的に実行していくためには、河川管理の国土交通省や鳥獣対策の農林水産省とともに検討を行い、適切な予算のもとで実行していって欲しいとの声もあがった。