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■牛伝染性リンパ腫ウイルスの「タンパク質を作らないRNA」による干渉作用を発見

2023-09-25 15:20 | 前の記事 | 次の記事

農研機構は、2023年9月14日、牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)の「タンパク質を作らないRNA」による干渉作用を発見したと発表した。BLVが持つ機能不明な遺伝子の1つであるAS1-S遺伝子の詳細な解析を行い、AS1-S遺伝子から発現するncRNA(AS1-S RNA)が、宿主細胞の核内でheterogeneous nuclear ribonucleoprotein M(hnRNPM)というタンパク質と結合し、hnRNPMと宿主RNAとの結合性を変化させることを発見(参照：農研機構プレスリリース)。

hnRNPMは、細胞の核内にあるRNAを加工することで、様々な細胞機能を調整する役割を持つタンパク質。AS1-S RNAは、hnRNPMによる宿主RNAの加工・調節機能を阻害することで、感染した細胞の異常な増殖を引き起こしている可能性がある。この発見は、BLVが発現するncRNAの分子機能の一端を明らかにした世界で初めての報告で、牛のリンパ腫発症メカニズムの解明とその制御法開発に資する基盤的知見として、ウイルスが病気を引き起こすメカニズムへの理解を深めるための大きな手掛かりになると考えられる。

研究成果は「Microbiology Spectrum」に掲載された。